好きだと、感じたのはたしか
  




肌寒い夜だった
誰かの事を思って、見上げた空は
とても澄んでいた




「水稀さん、無事で良かったッスね〜」

病院からの帰り道、黄瀬が心底安心しきった表情でそう言った。
確かに無事で良かった。
ホントに一時はどうなるかと思った。

こいつも病室にいるときは、真っ青な顔して水稀の事見てた。
キャプテンも、カントクもそうだった。
黒子に至っては、あまり表情を変えずに…だったが、
あの行動を見て、俺と同じだったのだと、改めて感じた。


水稀は今日一日病院に泊まり、明日帰るって事になった。


「それじゃ、私たちはこっちだから」
「明日朝練遅刻すんなよ!!!」
「うっす」
「またッス〜」

カントクとキャプテンがその場から離れた。



「…一つ確認なんッスけど、火神っちは水稀さんの事本気なんッスか?」


そのタイミングを図っていたかの様に、黄瀬が切り出した。

「なんで、そんな事聞いてくんだよ……」
「だって黒子っちの本気はさっきので分かったッス。じゃなきゃ泊まるなんて言わないしね」




そう、黒子はそのまま病院に泊まることになった。



黒子が本気で水稀を怒り、抱きしめた。
それに安心したのか、眠りについた水稀。
黒子の服を離さなかった。
それを見たカントクが一晩一緒に居てあげてと、黒子にお願いしていた。


『もちろん、そのつもりです。このまま一人なんかにできませんから』



黒子の本気なんて、始っから分かってた。
俺と朝練来たときから、とっくに分かってた。
けどそれは、俺と同じくらいなんだと思ってた。
けど、違うんだと思い知らされた


だったら、俺は?
俺はあいつに対して本気なのか?



「本気じゃなかったら、手引いてくださいッス」

「はぁ?なんでお前に言われなきゃならねぇんだよ」



「俺、黒子っちにも負ける気ないんッスわ」

あの子の事に関しては、誰にも負けるつもりないッス


その目に、俺はただ黄瀬を見る事しか出来なかった。



「そんじゃ、また来るッス。水稀さん心配だし」


離れて行く黄瀬を見ながら俺はただ、立ち尽くすだけだった


俺が持っているあいつへの感情は、ホントに『好き』なのか?





どうしたら答えが出るのか
どうしたら
どうしたら








あのとき感じた感情





(好き…だと思ってた)
(俺の好きは違うのか)








私は火神が好き









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