あなたのそんな顔を眺めていたくないんです
  





生きた心地がしなかった
君が僕の前から
居なくなるなんて


考えたくもなかった



水稀さんが病院に運ばれてから、時間がどのくらい経ったのだろう。
まだ、眠ったままの彼女。
早く目を開けてほしい。


「水稀さん……」

黄瀬君が、彼女の手を握り消えそうな声で呼びかけた。
その光景に僕は思わず、顔を背けた。

「…こいつ今日体調悪かったのか……」

壁に持たれて火神君が呟いた。その表情は普段の彼からはとても想像できないくらいな顔で。

「そんな、感じはなかったですが…」


ただ、何か隠してるのだろうとは思った。
僕たちに言えない何かを。


ガラッ


「翠南ちゃん!」
「水稀!」

カントクとキャプテンが病院に駆けつけた。

倒れた時に、思わずカントクに連絡をしてしまっていた。
けど、今思えばその判断は正しかったみたいで、カントクはすぐに救急車を呼び
今居る病院に行くように指示を出した。

その指示が水稀さんの事情を知ってるとも思える行動だった。


「…大丈夫なのか…水稀は…」
「薬で眠ってます。命に別状はないそうです…」
「…そうか」



「カントク…何か知ってるのですか?水稀さんのこと」

さっきから神妙な顔をして、彼女を見つめるカントクを見て
聞かずにはいれなかった。

カントクはため息を一つ付いて


「心臓に少し、病気があるみたいなの」


その場に居た、全員が驚きを隠せなかった。

「病気…ッスか…。こんなに元気なのにッスか…?」
「薬で抑えてるから、今のところ日常生活に問題ないみたい。だけど、あまり無理は出来ないわ」


……病気?彼女が…?

「どうして、そんなこと…黙ってたんですか?」
「そうっすよ!!何かあってからじゃ遅いじゃねぇか!」
「黒子、火神、落ち着け」


これが落ち着いてなんかいれない。




「…わたしが…黙っててって、お願い、したの……」


うっすら目を開けて、こちらを心配そうに見ている水稀さんが居た。


「水稀さん、大丈夫ですか?」
「へいき…ごめんね、心配かけて…カントク、キャプテン、ごめんなさい…」
「いいの、良かったわ、目が覚めて」
「ったく…むちゃすんな」



「水稀、なんで黙ってたんだよ!…こんな風に倒れたれたら…!!」
「かがみ、くん…ごめんね。言ったら、私に気使うでしょ…?」


それが嫌だったの。
消えそうな声で、遠くを見ながら彼女は言った。
ちゃんと話すつもりだった。
心配かけないように、ちゃんと…。運悪く、出掛けた時に発作が出たという。
なんとか、隠そうとしたけど、無理だったみたいと、少し笑いながら言う彼女に
怒りが湧いてきた。
それは「憎しみ」とかそんな感情じゃなく。

だからか、頬に手を当てた

パシ!


「…っ、くろこ、くん……」

「黒子!お前何してんだよ!!」
「止めないでください、火神君。水稀さん僕は怒ってます。何故だかわかりますか?」
「……倒れて心配かけたから…」
「黒子っち、そのくらいにして。水稀さんまだちゃんと……」
「黄瀬君も黙っててください。そうです、でもそれ以上に、秘密にされていた事と体調が優れないのを一言も言ってくれなかった事です」




「だって……言ったら、この事言ったら、離れて行く!!だから…!!」


泣きながら、必死に訴える彼女を上から抱きしめた。






「どうして、離れるなんて言うんですか。こんなに君を必要としてるのに……」

「…くろこ、くん……」









こんなに君を必要とする自分が居た





(君は僕の隣にいて)








…はよ進んでくれ









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