思い出したのは、君の瞳の色でした
  




「黄瀬君!ご、ごめんなさい…待たせちゃって…」
「いや、大丈夫ッスよ!遅刻じゃないし!……けど…」

予想通りの展開で、驚きもなかった。


彼女、水稀さんにデートの約束をした日曜日。
綺麗に晴れた日。


「やっぱり、来たッスね〜。二人とも」
「当然です。何よりカントク命令ですからね」
「キャプテンからも、言われてるからな。無視するわけにいかねぇよ」
「……ごめんね。黄瀬君…」

待ち合わせ場所に来たのは彼女だけではなかった。
当然、お邪魔な二人も来た。ここまでは予想通り。想定内。
だけど、想定外の事…

「水稀さん…私服可愛いッスね」
「ホント?黄瀬君もかっこいいよ!さすが、モデルさんだよね!」
「そうっスか?嬉しいッス!」

むちゃくちゃ俺好みの服装。
マジでかわいすぎ…それを思ってるのは俺だけじゃないくて

「け、けど、ちょっとスカート短くねぇ…?」
「どこ見てるんですか、火神君」
「なっ!!しょ、しょうがねぇだろ!!!」
「なにがしょうがないんですか」

この二人も…思っていた事で。
まぁ、それは良いとして、さっきから気になってるのは、

「なんで、二人が水稀さん挟んで歩いてるんッスか」

デート取り付けたのは俺なのに。



「だから言ったろうが。キャプテンとカントクの命令だって」
「君を隣に歩かせない様にと、キツク言われてますので」


あくまで、上二人から言われてるを強調しているが。
半分以上自分達の気持ちだろう!!
そんな事気付かない俺じゃないッスよ。
まぁ、気付いてないのは彼女だけみたいだけど。




「さて、買い物って言ってたよね。どこから見てまわろっか?」


うん、状況はさておき彼女と一緒に居れることを喜ぼう。
そして、気持ちを伝えるんだ。
ずっと探してた。あの時からずっと



この気持ちだけは誰にも負けない自信がある。




「はぁ〜買った、買った!」
「ホントにいっぱい買ったね、黄瀬君」
「はい!水稀さん見立ててくれたから、つい…ありがとうッス!」
「どういたしまして」


あれよあれと、買い物に熱中しすぎていつの間にか、夕方になってて。
近くの公園で一休み。
ベンチに座ってまったり中。隣のベンチにはお供二人が伸びてる。

「二人とも〜だらしないッスよ〜あれぐらいで」
「大丈夫?」


「「…大丈夫(です)」」


確かに4時間ぶっ通しで、買い物したら大抵の男はぐったりになるだろう。
俺は平気だけど。



「……水稀さん、今日はホントありがとうッス」


もうすぐお別れだと思うと、ちょっと寂しくなって。
学校違うし、県も違うし、なかなか会えないし……

「誘い方ちょっと強引だったッスよね。反省はしてるんッスよ?けど……」



こうでもしないと、ダメな気がして




「…確かに強引だったよね。あの時は、違ったのに……」


「「「え?」」」
「あの時って、どういう事ですか、水稀さん」
「お前、黄瀬に会った事あんのかよ!!」


…まさか……


「覚えてたんッスか……?」


ニコって微笑んで『さっき思い出した。ごめんなさい』





女の子集団から、助けた、男の子だよね??




あれは高校に上がる少し前の君との出会い。
たったそれだけだったけど、

もう一度会いたくて、会いたくて探した。




「あの時のお礼ちゃんとしてなかったから…ありがとうッス」



本音はお礼より
君の笑顔がもう一度見たかったから


強く握ったら壊れそうな手を握り、ありがとうを繰り返した。







寝ても覚めても、君の事ばかりだったから





(こんな気持ち初めてだった)
(優しい君が、ふいに見せた、寂しそうな顔の理由を聞きたくて)
(ここまで来たんッスよ)











こんな黄瀬あり?









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