ぴったりベッド
赤子が生まれ、両親は
神木のゆりかごを買った

名前を伸太と名付けた

風が吹いていないのに
メリーゴーランドが回った

そのせいか夜泣きも
しなかったと言う

保育〜幼稚園の頃は、
親子水入らず川の字で寝ていた

小学生になって、
一人部屋が与えられた

一角に、何となく見覚えのある
ベッドが置かれている..

毎年2〜4cm背が伸びて..

それでも足が
はみ出る事は無かった

中学生になると"ノッポ"という
あだ名で呼ばれるようになった

高校生になった頃、
2メートルをオーバーしていた

それでもベッドには
ゆとりがある..

バスケットボールで
活躍できるかも!と思ったが
反射神経が悪すぎて駄目だった

大学に入ると着る服は
オーダーメイドになった

映画館に行けば「前が
見えない」と文句を言われた

社会人になり階段から
転げ落ち、軽い骨折をした

自分の部屋に帰ると、
医療ベッドが構えていた

母に聞くと「いつの間にか
あったのよ」と漏らしていた

怪我が完治する頃、
普通のベッドに戻っていた

30年が経過し、
他の家族は他界した

いつの間にか介護ベッドに
変身していた

寝たきりには
なりたくなかったので、
リハビリは欠かさなかった

背も縮み、心成しかベッドも
小さくなった気がする..

新聞が一ヶ月滞っていたので、
警察が調査に入った

伸太は棺桶の中で
亡くなっていた

骨は山の奥に埋められた

数十年後..見事な
大樹が育ったという


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bkm

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