「坂田さん、何してんスか」



今、私は口とか鼻とか穴という穴から内蔵の大事な類なものが出そう。いや、我慢できないとかじゃなくて、ね。



「ん〜…………おうまさんごっこ」



なんだと!!私が馬か馬なのか。いやいやいやいや、そうじゃなくて。



「坂田さん、手、どけて。」


「やだ。」


「いや、これ、描写的にヤバいって。」


「やだ。」



坂田さんのデカイ手が私の小さなヲッパイ包んでるんですけどどうしたらいいですか。



「坂田さん、」


「ん」


「息、臭いです」


「またまたぁ。」



坂田さんは明らかに酔ってるわけで。しかも何故か私の家に帰ってきた。自分の家じゃなくて。ちょっとうれしかった。
とりあえず、寝かしつけようと布団まで案内した。そしたら、視界に天井を背景にした坂田さんが写ってた。
要は、押し倒されたわけですねはい。



「坂田さん、重い。」


「いいじゃねーかよ、ちょっとぐらい。俺だって寂しいーの」



低音ボイスを耳元で、しかもこんな言葉を言われて、私は萌えないわけが………あった。何となく、萌えなかった。



「なーぁ、俺ぁどこにいんだよ」


「は?」


「ったくよ、東京なんて意味わかんねー都会に来ちまったしよ」


「ね、坂田さん、いだっ」



私の腕を掴む坂田さんの腕の力が強くなった。ギシギシ、と痛む。



「ガラにもなく、ホームシックたぁ……笑えねーよ。」


「いっ、」


「記憶が、消えてくんだ…江戸に…いたころ…の…銀さ、ん…どーすりゃ」


「………?」



ドスン、と坂田さんは私の身体に全身を乗っけた。しばらく耳を澄ますと、寝息が聞こえた。
眠ったらしい。



てか、東京とか江戸とか、それ以前に



「銀さんって言ってた。」



相変わらず、銀髪の青年は私の上で寝息を立ててる。
流石に重いので、這い出た。そして、毛布をかけてやる。


時計は、午前2時をさしていた。