朝の会議の時、隣の沖田が肘で私を小突いた。私は、小声で尋ねる。


「どったの総悟?」

「見てみなせィ、土方さん」


言われたら見るに決まってる。土方さんを。

土方さんは(いつものことだが)クールな顔だ。切れ長の目。高い鼻。無造作ヘアー。んー、モテるだろうな。
総悟はそんな事を言いたくて呼んだのか?
くだらねー。


「何さ、いつもどーりかっけーじゃん」

「アンタの目はいつもどーり妙な汚いフィルターかかってらァ。マジきめぇ」

「死ね。土方さんはかっけーもん。アンタみたいな童顔と違ってな」

「Sはこれぐらい可愛い顔が丁度なんでさァ」


コソコソしてたら、案の定土方さんが感づいた。やべー。
睨んでる。かなり見詰められてる。


「おい名前に総悟、お前ら何くっちゃべってやがる。死にてぇのか」

「誤解でさァ。俺ぁ名前に「今夜私のお尻を開拓して」って頼まれてたんで、断ってただけですハイ」

「何言っちゃってんのぉおおお!?誰が尻の開拓なんか頼むかぁあああ!!!!」

「よーしわかった二人とも。そんなに腹を切りたいんだな。二人とも切腹だあああああ!!!!!」


叫ぶ土方さんの聖水…じゃなくて、唾を顔面に喰らう。土方さんの美顔を直視すると彼の鼻に、いや、鼻から毛が出てるのを見た。見てしまった。


「ぷくく」


総悟ぉおお!!おま、コレ知ってて、えええ?私に何を期待してるの?何コレ、言うの?言わなきゃいけないの?


「ひ、ひ、土方さん………」

「あァ?覚悟でも決まったかゴルァ」

「い、いえ、すみませんでした」

「わかりゃいいんだよ。総悟にのせられてんじゃねーよ。ったく」


言えねぇええああ!!どうしよう!!マジ、やべええ!!ああああ、会議続行しちゃってるよ。土方さんの鼻毛そよいでるよ。鼻息でそよいでる。

会議続行で静寂に包まれてる空間。
そよぐ鼻毛。