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「ね、え！」姉ちゃんが飛鳥ちゃんから繰り出されるてのひら(たしかショウテイってやつ)を腕で腕を弾いて避けていく。 「こんなことしてさっ、学芸会で、お父さんお母さんに怒られないの!?」 「っ大丈夫大丈夫、たぶん！いてっ、加減しろよ！」 「やーだ！」 思いきり右足でうしろにまわしげりしたら、しゃがんだ飛鳥ちゃんの髪の毛を吹姉ちゃんの足がかすった。ぼーっとぼくが見てるうちにかわした飛鳥ちゃんが立ち上がって吹姉ちゃんのジクアシを払おうとしたので、すかさず右足がついた瞬間に左足で右の脇腹を蹴る。 もちろんたたかいのシーンの練習だしタイミングをはかるためのモノだから痛くもなんともないのだろうけど、飛鳥ちゃんが脇腹を押さえて、休憩休憩。と言うので姉ちゃんは体をとめて汗をふいた。夏にひなたで体をうごかすとか、ジサツ行為だとおもう。 えんがわで吹姉ちゃんのメイドインワリオをしていたぼくはそっちにぱちぱちと拍手をしてからタオルを持っていく。 「飛鳥ちゃんは、ケンドーとかアイキドーとか、ほかにもジュードーとかカラテならってるって聞いてたけど吹姉ちゃんもできたんだ。けんか。」 「喧嘩なんて人聞き悪いよ佳主馬くん。」 「これが俺の鼻折った奴の言葉だと思うと人間って改めて怖いと思うよ。」 「ねちねちうるさいなぁ。」 夏のあつさで血がのぼりやすくなっているのか、カチンと来たらしい。姉ちゃんが飛鳥ちゃんの膝のうらを軽くスネでけると膝がカクンってなった。姉ちゃんが大笑いしていると反撃とばかりにタオルを足に引っ掛けられて姉ちゃんまで転んだ。ばかだなぁ。 おいこら吹、エスカラス役の俺が怪我したらお前どうすんだよ。私だって主役だぞこら。とにらみあう姿を見ててつまらなかった。 「姉ちゃんて…ほんと、なんか習ってたの？」 「うーん、おじいちゃんから少林寺習えって言われたからそれと、あとお兄ちゃんにサバットっていうストリートファイトのために靴履きながら戦えるやつ教えてもらってたかなあ。」 「兄貴ってあれか、自衛隊の。」 「や、ブロンドの方。まさかお兄ちゃんもロミジュリの劇で役に立つとは思ってなかったろうなー。」 そう、姉ちゃんはロミオである。男役は男がやるのがジョーセキだけれども、目の色が青くてがいじんっぽいからっていう理由でロミオ。ジュリエットのポジションは一体どう思われてるんだろうか。 「ロミオとジュリエットって戦うとこあったの？」 「知らない。」 「ない。」 どうやらキャクホンだとかエンシュツだとか、そういうのもせんせいは口出ししないらしい。というかせめて原作ににせようとかなんかないのかこの人たち。 「とりあえず戦うにしてもしないにしても最後私が勘違いして死んでジュリエットが後を追うっていう流れは変わんないから大丈夫じゃない？」 「そもそもがくげい会で悲劇ってだいじょうぶなの？」 そう聞けば飛鳥ちゃんが、四大悲劇よりは重くないから平気平気。猥談入ってるのは問題だけど。とえんがわに座り込む。わいだんの意味を聞いたら、そのうち辞書で引けよ。と言われた。 横で、そもそも仮死状態になる劇薬が14世紀のイタリアにあったとは思えないけど。と呟いていた姉ちゃんは無視しておいた。なんだかんだ、二人ともはくしきだ。 そのあとすぐに吹姉ちゃんがおもおもしいため息をつくから、どうしたのさ。と聞くとぼくの顔を見てから、 「…はぁぁああ……。」 しつれいである。 「なに、ぼくの顔見てため息するな。おこるよ。」 「おお佳主馬殴ってやれ殴ってやれ。」 「飛鳥ちゃんて性格悪いねーっ、…というのは嘘だから安心してその拳をしまってね。うん、よし。 …うん、でだ、今回の劇さ、キッスあるんだって。」 ロミオが仮死してるジュリエットにちゅー。私がジュリエットにちゅー。この意味がわかるかい君達。と大げさにゼツボウ的なそぶりの姉ちゃんが空を仰いだ。 「キスシーンが私のファーストキッスになりそうなんだけどどうしようか。」 「えっ、ほんとうにするの？普通したふりじゃないの？」 「したふりだけだけど。当たり前だよ、クラス委員が言ってたろ。話は聞くべきだと思う。」 「うるさい。………佳主馬くんなに笑ってんの怒るよ。」 シンミョーな顔をしてぎだいに出したはいいけど、すぐに問題がかいけつしてしまって吹姉ちゃんはばつの悪そうな顔をして笑っちゃったぼくをにらむ。 「吹姉ちゃんってどじだ。」 ぼくだって本当はすごく、どうしようって焦っていたのはひみつだ。 2003年、夏。 (んでもしたふりする練習しなきゃなあ…飛鳥ちゃん、) (絶対いや。) (うん大丈夫、私も。じゃ、かーずぅーまくーん！) (え、ちょっと!!) 質より早さということでgdgdでお送りしました申し訳ない← 飛鳥ちゃんもう出しちゃった、キャラがまだ固まってません←← ただ結構オールマイティーな子だと思います ちなみにサバットは狭いところでも戦いやすいように出来ているようで、そのうちまたでてくるんじゃないかな。 八極拳からできたファイトスタイルらしいよ、ブルース･リーブルース･リー。足技が主だったと思います。 20110122 |