HURRICANE! | ナノ
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「なにやってんの?ピアノ?おうた?どっち?」



にもつを部屋において、れーぞーこから勝手にアイスを二本ぬきとると、吹姉ちゃんのまるくて高くて、でもうらがえった声がした。おうた、なんだと思う。だんげんできないのは笑えないくらい音がはずれているからで、見にいってみたら下を向いたまま、ひさしぶりー。と気の抜けた声が掛けられた。
姉ちゃんが紙とにらめっこしながら足のながい椅子に座って足元のケンバンに爪先を向けている。そばにはパソコンがあって、ピアノとコードで、吹姉ちゃんとはマイクつきのイヤホンとつながってた。



「ピアノじゃないよ、エレクトーンての。電気屋さんで回収したやつ太助おじさんが壊れたの直して私にくれたの。」


「へえ。」



顔を向けないで姉ちゃんが必死に足を伸ばすのだけど届いてなくてこっそり笑った。ぷくく、とたえるのだけど姉ちゃんにはすぐにばれちゃって、吹姉ちゃんはそれに気づいたしゅんかんにむすっと仏頂面になる。なに、馬鹿にしてんの。って口がへの字だ。



「それよりなんでピアノ…じゃなくて、エレクトーンひいてうたってるのさ?イメージのロセンヘンコー?」


「私どんなイメージなの。」


「ごろごろしてゲームとマンガざんまいなイメージ。吹姉ちゃんて、さかあがり出来なさそう。」


「逆上がりどころか連続逆上がりできるからね。クルクルクルって回るやつ。」


「うそだ。」


「ホントだって。」



私、佳主馬くんが思うよりもずっとpotential高いよ。50メートル9秒02だもの。と姉ちゃんはじまんげに言うけれど、いちぶ、むだに発音が良すぎて聞きなおした。センザイノーリョクだそうだ。9さいの50メートルの平均がわからないので、吹姉ちゃんが速いのか遅いのか、ぼくにはちょっとわかりかねた。



「で、なんでおんがく?」


「飛鳥ちゃんに、吹音痴だな。って。音楽で同じグループなの。そんでお姉ちゃんに言ったら喜んで音楽教室いけって。そしたら飛鳥ちゃん家でさぁ。」



なんか屈辱的だから、練習したやつをパソコンに入れて、オズってあるでしょ?アレのコミュニティに投稿して、いろんな人にアドバイスしてもらってるんだよ。とマイクを取って高いいすから飛び降りる。
もうすぐ飛鳥ちゃんが私の特訓しにうちに来るんだー。とぼくを通りすぎて、えんがわに寝転がった。それからそばをポンポンとたたいたから、そばに腰を下ろしてとけかけたアイスを渡す。



「おっと、気が利くねえ佳主馬少年。」


「知ってる。あ、あとでセミとりいっしょに行こうよ。」


「ん。特訓終わったらね。」



そういう姉ちゃんが、じぜんにアイスを買ってきていたのをぼくはしっている。



2002年、夏。

(おー、佳主馬来てたのか。相変わらずほっそいなー。)
(飛鳥ちゃんこそ、あいかわらず目付き悪いね。)
(ほっとけ。女みたいな顔しやがって言うことは辛辣なんだからな、佳主馬は。)
(おおきなおせわ。)
(で、吹は?)
(えんがわでしゃべってたら寝ちゃった。)
(………。)




お久しぶりです。短いです。とりあえず吹ちゃんが陣内の女性の中で珍しく文化系なこともしてるっていうのを書きたかったのと、オズに投稿してるのを書きたかったってだけなんです。
飛鳥ちゃんも出そうかと思ったんですけど面倒だったので最後佳主馬くんと接触させるだけにしました。佳主馬くんは吹ちゃんとられるのは嫌だけど別に飛鳥ちゃん自体はきらいじゃない感じ。

しばらくはこうぐだぐだと昔を書いていきたいと思います。書きたいだけで中身はないけれども。
そのうち飛鳥ちゃんのプロフィールつくるんじゃないかと思います。あ、でも作らないでみなさまのご想像でもいいかな。



20110116
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