塵も積もれば山となる、とでも言っておきましょうか




【都合よく愛してゆく】





私が思いを寄せている彼は、煽てれば機嫌が良くなる
まぁだから要するに滅茶苦茶操りやすかったりするのだ
例えば朝、「おはようございます王子」と言えば彼は笑顔で返してくれる
ティアラを褒めたりすると、もっと笑顔になる




そんな物凄く分かりやすい彼
初め、彼を落とすのは無理じゃないかと考えた
けれど彼は時間を掛ければ結構簡単っぽかった
最近は抱きついたりもしてくれるようになったし




「レイナー、ホットケーキ作って?」

「はい。分かりました王子」




名前で呼んだりもしてくれるようになった
というか食べ物関係の時は殆ど私の所へ来る
でもね王子、そんなに食べてたら太るよ…?
私はスリムなままの王子がいいのになぁ…、と心の中で思ってみたり
太った彼を思い浮かべて笑いが漏れた事は秘密だ





「レイナってさ、」

「はい?何ですか?」

「優しいよな。だからオレレイナの事好きだぜ?」

「…ありがとうございます」





ニッコリ笑顔で返答
これは落ちるまで時間の問題だな、内心ほくそ笑んだ
というか、本当もうそろそろ落ちてくれなきゃ困る
だってこの行動を続けてもう1年が経とうとしているのだから





「なぁ、お前今好きな奴とかいんの?」

「いますよ。スクアーロ様を好いております」

「…ふーん」




これは結構な賭けだったり
明日スクアーロ様が怪我を負っていたら
それはつまり王子が嫉妬をしてくえたという事
要するに私に気があると云う事だ
いや、若しくは今ここで私に愛を叫んでくれても全然okなのだが





「…オレさー、好きな奴いるんだよね」

「王子に、ですか?」

「そう。1年くらい前からオレの事王子って呼んでてさぁ、」

「………」

「今このオレの前でカス鮫が好きとかほざいた奴」




ん?このパターンは告白?
いやいや、有難いけどそれじゃ私の目的は達成できないんだよね
こうもっと直接愛を叫んで貰いたいんだけど
ってか王子ならもっと派手な告り方だと思ってたんだけど




「王子?それは…」

「ししっ、言わねーと分かんねぇ訳?」

「…はい。言って下さるととても都合が良いのですが」

「んー、どうしよっかなぁー」




早く、早く言ってくれないだろうか
私は全身全霊で答えてあげれる準備は出来ているのだから
あれか、王子というプライドが直に言う事を否定しているのか
それなら捨てっちまえ、そんなプライド




「まぁいいや。オレが好きなのはレイナ、お前だよ」

「…それなら私は愛してると言いましょうか、ベルフェゴール」




好きこそ者の、上手なれ
(今まで散々色々仕掛けてきた甲斐がありましたよ)(ししっ。王子が簡単に靡くわけねぇじゃん)
(でしょうね。だから面白いんじゃないですか)(ちっくしょ…オレ王子なのに)
(ふふ、努力の賜物ですからね。私だけの王子様、)