嘘という名の勇気!




【4月1日の気紛れ】




僕は4月1日があまり好きじゃない
何故なら思いを寄せているベルがその日だけ「好き好き」言ってくるから
と言う事は、僕の事嫌いって事だよね?
「好き」って言われるのは嫌じゃないんだけどね
凄く複雑な心境になるんだよ





「何そんなに暗い顔してんの?」

「あ、ベル…別に暗くないけど」

「しし…意地っ張り」

「うっさい。死んじゃえ狂乱王子」





僕は静かに4月1日を過ごしたいのに
ベルは異様にこの日だけ絡んでくる
正直ね、僕絡んでくれるのは物凄く嬉しいんだけどね
今日は全然嬉しくないんだけど





「あ゛ー…憂鬱…」

「何か今凄い顔してんぞ」

「え?それは何?僕がブスだと言いたいの?」

「いんや。今すっげぇ美人」

「まじ!?」

「嘘。何騙されてんの?」





今すっごい殺意が沸いたんだけど
なにこの無邪気な笑顔
僕これじゃ怒るに怒れないんですけど畜生
お前顔が無駄に良すぎるんだよベルの野郎め




「ベルってさー…好きな人いんの?」

「は?別にいないけど」

「…これは本当に?」

「嘘。いるに決まってんじゃん」




え…いや別にいると決まってなくていいんだけど
というかそうなんだ
僕全然気付かなかったんだけど
いやでもベルに言ったら、「お前等凡人とは違うんだよ」とか言われそうだし
ぼ、僕だってなぁ!一応幹部なんだぞ!ベルよか弱いけど…






「好きな人って誰!?」

「秘密。何で王子がレイナ如きに教えなきゃなんねーの?」

「如きって何だゴルァ。てめ、ちょ、舐めんなよ」

「誰もお前の事なんか舐めねぇよ。つか普通に考えて言わねぇよ」

「いや言っちゃえよ。今日エイプリルフールだし」





でもそれじゃ本当か嘘か分かんない気が…
いやでも何かそこはうん、僕の幹部ならではの勘で
ヴァリアークオリティで頑張ってみよう




「えー…じゃあレイナ」

「また嘘でしょどうせ。期待させて落とす気だろ。その手には引っ掛かんない!」

「いや別にオレまだ嘘とか言ってないんだけど」

「期待するからショックを受けるんだよ」

「何でそんなに名言チックに言った。おい」




いやでもほら何か最近テレビで言ってたし
というか「じゃあ」って何さ?僕はそんな安い女じゃないんだけど





「そんな事言う奴は嫌いだぜ?」

「はっ。どうせまた嘘…え、嫌い?」

「今日はエイプリルフールだし。これ分かんなかったらただのアホだから」





ほんのり赤い頬の意味は
(そ、それは…その)(何?意味さえ理解出来なかったわけ?)
(なっ!そんなわけないじゃん!ベルなんて嫌い!)(…ふーん)
(あ゛!いや、その別に…今の嘘!好き!)(マジ?わー、ありがと)
(え?今の好き、って言うのは嘘であって…)(素直になれって。オレの事好きなくせに)
(こ、この野郎!言うんじゃなかった…!)(じゃあ今度は嘘無しで、オレはレイナの事好きだぜ)