その数時間後。

ヨハンがドアを開けると
レイナは壁にもたれて
眠りこけていた。

「まさかずっとここで…」

と、その時レイナが
目を覚ました。

「―――れ、ヨハン?
私寝ちゃったんだね」

「レイナらしいけど…

まだ春だし、風邪引くぜ?
中に入れよ」

「わーい♪」

ヨハンの後について
レイナも部屋に入る。

「そこら辺座っててくれよ」

「うん」

そういってテーブルの上に
座り込むレイナ。

全くどこ座ってんだよ。

「…まあいいや。
ちょっと目瞑ってろよ」

「ん、わかった」



素直に目を瞑るレイナ。
こういつも素直だと
嬉しいんだけど…

ヨハンは隠しておいた
あるものを取りだすと、
レイナの膝の上に置いた。

「もう目開けていいぜ」

言われた通りに目を開けると…

「うっそ…」

レイナが唖然とする。

膝の上に置かれたのは、
小ぶりの夜宴。

そしてそこに書かれた言葉は…

「ハッピーバースディ、
レイナ」

そっくりそのまま
レイナが口にした。

「もしかしてさっき、
これ焼いてたの?」

「まぁな…
ほらオレ、ケーキとかあんま
作ったことなんてないから
時間かかっちゃってさ。

ほんとは後で
持ってくつもりだったんだ」

「いいよ、嬉しい!」

レイナがニッコリ笑う。

「サプライズなんて
くさいことするじゃんか」

そういってヨハンの頬を
笑顔でつねるレイナ。

「いた、痛いってレイナ」

「愛情表現だよ☆」

痛いと言いつつ
ヨハンも笑ってる。

「食べてくれよ。
結構がんばったんだぜ?」

「うん、いただきまーす」

レイナはフォークで
大きく一口かぶりついた。

「ん、おいしい!!」

「よかった」

「ありがと、ヨハン」

「どういたしまして」




→おまけ&あとがき