「ねぇラビ。」
彼女…緋彗はゆっくり振り向いてオレを呼んだ。
「どったの?」
「貴方にとっては私でさえも紙上のインクなのかしら?」
「…さぁ、どうなんだろうな…?」
「そう。」
その問いにハッキリ答えられないでいると緋彗はもう一度口を開く。
「言い忘れたのだけど…私、単独任務が入っていたわ。そこで相談なのだけど賭をしない?」
「いきなりだな。賭は話によるぜ?」
オレの台詞を聞くと緋彗は、悪くない話よ。と言って、あとを続ける。
「私が無事に任務完了したら貴方の勝ち。私がしくじったなら私の負け。」
「それ言い方変えただけで、二つとも緋彗の負けさ。」
「いいの。ラビはタイミングのいい時になんだかよくわからない力で駆け引きに勝つんだから。」
なんだかよくわからない力ってなんだよ…。と苦笑すると緋彗はスゲェ綺麗に笑って、罰ゲームは後々決めましょう?じゃあね。任務に出掛けた。
だけど
まるで別れのようだ。なんて思ったオレの勘はあながち間違ってはいなかった。
哀しき隻眼の敗北
オレは賭に勝って勝負で負けたんだ。 ←→ page: