1/1 だいきらいだった。




大地にしがみついた。




この身が。




爪が剥がれる。




この鎖が。




引かれて食い込んだ。




自由を奪ったものがだいきらいなんだ。




しらない人達に引きずられた。




運命が憎いわけじゃなかった。僕が生まれ落ちたのはその運命のおかげで、生きてこれたのも運命のおかげ。




憎いわけじゃない、決して。




ただ何も…なにもかもがどうでもよかった。否、よくなった。



大切な人達が死んだのも、今のこの現状も…悔しいと思ったけれど、どうにもならなかった。



逃げ出せないんだ。




「疲れたよ…マーくん…。」




声は掠れてた。睡眠薬が入っているのはわかりきっていたから、水なんてものはあまり飲まなかったし食べ物だってそうだ。




「眠いよデイシャ…。」




眠っている間に何をされるかわからない。




「寒いよフロワ…。」




それには痛みが伴うことだけはわかるが。




「潰れる前に感電死、するのかなぁ…?
もう、会えないね…ユーくん。」





運命なんてどうでもいい。きっと狂ってはいないとわかる。歯車は壊れてなんかいない。




むかし、運命は時計と同じだと誰かが言っていた。



知り合いだったかもしれないし、下町に現れた浪人だったかもしれない。



歯車が狂うから時計は狂う。
歯車が狂うから運命は狂う。
歯車が止まるから命を落とす。



そう聞いた。




だから思った。時計が狂ったから、止まったからといってなにも時計のせいではないんじゃないかと。



つまり、運命に悪気はなかったと僕はいいたいんだ。




「!
ぁう…っ!!」




突然ドゴッて破壊音が聞こえて背後の壁が壊れた。その後、ドドドドッと弾丸の嵐。




「へ…?腕が遠くにいく…。」




壁に使われた石が、運よく鎖に直撃したらしいが僕は瓦礫に埋もれたまま。今の僕じゃブランクがありすぎた。




「行くぞ六幻。」




ただ、その言葉と共に翼を出した。




黒赤カンビオ

黒の彼と黒赤の僕、赤い血。

ほら、歯車は狂わず回ってた。
憎くは、ない。

だけど僕を救って貴方を闇に捕らえたままの、この歯車が堪らなく悔しいよ。 ←→ page:
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