※会話文


「え、荒北くん横浜市民なの。」

「なまえサンなんで引きつってんスか。」

「そこはかとなく横浜臭はしたけど、まさかほんとにそうだとは思わなくて。え?何区?ちゃんと横浜市歌歌える?」

「食いつくとこそこかよ。小学校んとき音楽で散々歌わされたけど、それがなに?」

「それでこそ!市民!えらい!そんだけ!じゃあ、みなとみらいで思い出すのは?」

「釣鐘型の埋立地。」

「エクセレント!!」

「……なまえサン、浜っ子…?」

「うん。大学はほら、こっちに住んでるから違うけど、小学校に越してから高校まで横浜。去年の8月に実家がまた市内で引っ越したけどね。」

「前どこだったんだヨ。」

「神奈川区。」

「ちけえ!」

「え?」

「うちんち港北区なんだけどォ。え?小学校って神奈川区?で、どこに引っ越したって?」

「中区だよ、引っ越したのは。小学校のときは磯子だったんだけど高校のときに神奈川区と鶴見の境くらいのとこに引っ越して、次山手のちょっと海側。」

「もしかしてェ、本牧?」

「なにそれグーグル先生みたい。そうだけど。」

「ガチの高級住宅地じゃねェか。」

「家中古らしいし、そんな高いわけじゃなかったみたいだよ。わたし知らないけど。わたしあと1年は住まないけど。
えっ、ていうか、荒北くん野球やってたんだっけ、中学のとき。」

「まあ…一応。」

「強いとこ?」

「一応。」

「…あー、わかった新羽中か。すごいなそこのレギュラー。すごいな。ピッチャーだっけ?すごいな。」

「昔の話だろ。つかなんでわかんスか、プロファイラーか。」

「港北わりと行くもん。あそこのIKEAおかが好きだから。IKEAいいよね。肉団子みたいなの食べによくお母さんについてったわ。おいしい。楽しい。」

「知らネ。」

「じゃあじゃあ荒北くんのお母さん、OKでお買い物はしてる?白楽の!」

「あー、行く行く。あそこの肉旨いわ。」

「あそこの切り落としよく買ってたー。OKのポテトサラダいいよ。1キロのやつ。お弁当に最適!あー、横浜帰りたくなってきた。お家帰りたい。」

「アンタ22だろしっかりしろよ。いい大人だろうがよ。」

「あ、そうそう。大人で思い出した。成人式の前撮りはクリスマス前に済ませといた方がいいよ。」

「あと1年先だボケナス。」

「いやいやそんなこと言わないでって。わたし大学1年のクリスマスにお母さんに言われてワールドポーターズに撮りに行ったんだけどさ。」

「周りがカップルだらけでしたってか。みなとみらいって時点で読めるわ。」

「えー、でもさ、聞いてよ。ギリギリまでゲームしてて遅刻しそうで、そのうえ電車で寝過ごしてテンパってさ、横浜駅で降りちゃって、持ち合わせもなかったから桜木町まで歩いたよね。」

「バカだろアンタ。」

「あの日ほどさみしかった日はない。」

「デショーネ。」

「でもベイクォーターとか赤レンガとか綺麗だったよー。カップルがチューする側を闊歩するの割と楽しかったし。」

「横浜でも1、2を争うデートスポットでなにやってんスか。」

「わたしの中であそこのデートスポットって、意識ないから。あそこわたしの中で文化遺産だから。」

「そういや、結構前にあそこって戦争かなんかのイベントやってた気ィする。」

「あー見た見た。名前忘れたけど小学校のとき見に行って割とトラウマ。」

「否めない。」

「……あー、割と本気で家帰りたくなってきた。この間やっとテスト終わって夏休みに入ったし、帰ろっかなあ。」

「いつ帰んのォ?オレも一緒に帰ろっかな。」

「そうは言ってもゼミ合宿と就職面接あるから9月までわたし帰れないかもよ?てかそれより荒北くんこの夏で免許とっといた方がいいよ。2年でもいいけど、早い方がいいし。」

「…っせ。わぁってんだよ。」

「あらま、お口が悪いこと!受験のときにわたし散々お世話してあげたのに!」

「世話になったのはなまえサンの弟であってなまえサンじゃねーから。指定校推薦だから参考にならないわーっつって、いらねぇ古文のノート置いてっただけで放棄したのは誰だよ。」

「使わなかったの?」

「…使ったけどォ……すげェわかりやすかったけど。」

「ならいいじゃん。たしかに理系は出来ないからなんも手伝わなかったけど。まあ、荒北くんがなー、工学部じゃなくて理学部とか医療系の学部で生物受験してたらまた違ったんだろうけどさあ。」

「生物得意なのォ?」

「柚子にマック奢らせる程度には。」

「柚子って東堂の2番目の姉チャンっしたっけ?北里行った。」

「そう。今なんか微生物にハマって……なにちょっといきなり腕掴んで。」

「……現代生物史教えてくだサイ。」

「は?何それ講義?」

「そう。」

「ごめん覚えろとしか言うことないわ。」

「今日なまえサンとこ行っていー?」

「ダメに決まってんだろ。普通にテスト勉強しろよ。」

「マークであることを祈るわ。」




横浜市民シンパシーどこ行った。
荒北は年上の人には体育会系丁寧語使ってそうだけど違和感。
20140807
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