拝啓、元の世界(get)の続き。


さて諸君、おはよう。いやこんにちは。あ、いや今夕方か。Good evening!

……あー…うん、先日はトリップの話を私はしたね、相変わらず私、この生活しんどいと思います、ええ。みんなの夢壊してごめんね、でも私、トリップより逆トリのがすきだし、むしろそんな超常現象信じてないし(今は例外だけど)、そもそも幼なじみとか昔出会ったよ設定の方がすきなんだ。え、一途じゃないばか素敵!みたいな!
ていうかトリップとかね、なんかみんな誤解してるけど、トリップしたからって特殊能力?つくわけねえだろ(笑)的な。もはや存在してることが特殊能力だよ(泣)的な。つらいです。つか私がきた漫画とかね、ギャグ装ってるけどぶっちゃけNARUTO並に危ないからね。あ、いや嘘ついた。普通に生活してたらそこまでじゃないかもしれない。ああNARUTOもか。狩人じゃなくてよかったけど。あ、知らない人のために言っておくけどHUNTER×HUNTERのことね、これからジャンル表記は漢字二字でやるからね!
ってことでまあ他のに比べりゃ安全なのかもしれないけどさ、でもなんか、ほら、私の周りにいる方々、メインキャラじゃない?たまに血塗れで帰ってくるときとかこっちが死にそうな気分になるわけでして。
そしてキレ方の尋常じゃないこと尋常じゃないこと。あ、キレ方って名字じゃないよ!もちろん土方さんね!稀にフォローの達人フォロ方さんになったりするよ!
で、だ。土方さんは話のわかる人だからいい。問題は私を下僕と称した奴。あの人の姑息さや狡猾さ、非情さったらない。ひどい。この間リード付けられそうになったときは泣きそうになった。大嫌いだ近づくなって言ったらやめたけれど。そしてお詫びなのか今日お饅頭貰ったし、土方さんのだけど。まぁその点ではちょっと優しいのではないかと。ちょっとだけど!
そのあとの所業で私が儚くなる(古語)っていうのは予想できなかったけどね!ばかな!ちくしょう信じないぞ!人間不信になってやる!ちょっと優しくしてくれたってなあっ、…あ、あの、うれしかったけど、けど、そんなんで今の状況から脱せるかばかもの!絶対布石だよ私が怒られるための!甘いマスクに騙されてたまるかこの…っ、外道!うわああああん!!!!


「テメェコラ、オイなまえ、何山崎に目ェ向けた刹那消えたんだ、あァ?」

「目があったらころされるかとおもいました。せいめいのききです。せいぶつの、種のほぞんのほうそくです。かたなしまってくれますか。わたしなきそうなんですが。」

「泣き落としが効くと思うなよ。」

「………しにたく、ない、です。でもおいだされたくも、ない、です。ゆるしてください後生ですから…っ!」

「…いや、ちょ、お、おい泣くなよ。何泣きそうになってんだ。」

「見た目と裏腹とはこのことですね。」

「よーし首出せ晒し首にしてやる。」

「いやああああああああ!!!!」


うるせェ!頭を殴られる。げふっ。いい音はしたが頭は痛くなかった。確かにうるさいのは否めないけどこの状況に陥れたのはあの茶髪のくりくりお目めやろうであって私ではない。なのに怒られるのが私だけとはこれ如何に。
しかしやはり、総悟の奴ァどこ行きやがった。と瞳孔を開く我が…主…、いや、私の上司の恐らく更に上司であるこの人はよくわかってらっしゃるなと思った。


「クソ、後にするか。なまえ、今すぐ雑務手伝え。上と下の馬鹿がやらかしやがった。この時間がねェ時によォ。」

「たいへんですねおたがい。わたしつらいです。労災でないんですか。」

「んなモンくれんなら俺も欲しいわ。」


………はあ。溜息が重なった。土方さんの上…つまり近藤さんは人のいい人だけど、ストーカーなのだ。性格がいいストーカーでもストーカーはストーカー。犯罪は犯罪である。
私もこれで女であるので、流石に買い物していた際にその現場に居合わせてしまった時は素直に引いた。だって、気持ち悪いことこの上ない。そして即刻騒ぎになる前に沖田さんと土方さんに連絡をしてやった。私をここに置いてくれ、信頼してくれた人の一人なのであまり告げ口みたいなのはしたくない。あまり悪いことも言いたくなかった。
だけれど、その時ばかりは、学習しろよ。と心の底から軽蔑したばっかりに、冷やかな目で見てしまったらしい。彼がガクブルしていたのは未だ記憶に新しかったりする。というかそれが一昨日のことであったりする。

土方さんの下も下で酷い。私の上の人だけど。もうなんか色々省くけど私あんな人初めてだよ…!勿論悪い意味でな!本人は土方さん嫌いらしいけど私的にはむしろ好都合なので仕事を貰ったりしている。無料飯食らい、ダメ、絶対。あとちょっと土方さんが不憫に思えたからっていうのも手伝う理由だったりする。よくもまあこんなサボりやろうばかりの面子で江戸が守れるもんだよなあ。


「じゃあこれと、あとあの馬鹿の分、頼めるか。」

「これ、もはや尻拭いじゃないですか。それは別に私が気にしなきゃいいですけど、いいんですか一般人の私にやらせて。あの人一応隊長ですよね重要なの混ざってますよね。」

「気持ちはわかる。わかるがお前しかいないんだ、わかるな?常識的判断で進めてくれ。」

「今度お土産お団子がいいです。」

「わかったわかった。」


話がわかる。さすがだ。まぁ頼りが私くらいしかいないっていうのの裏返しなんだろうけれども。
ずっしり重い紙を両腕で抱え、縁側を歩く。隣で素振りする音がして、見ないフリをした。恐らく顔、ボコボコなんだろうなあ。やることやってから遊べばいいのに。ていうかなんで一般隊士が遊んでるのになんでもない学生がこんなんやってんだ。まずおまえらが率先してやれよ。


「(まあでも、そのお陰で土方さんの刀の犠牲のいい標的にできるのだけども。)」


スッと与えられた自室の襖を開け、中に入る。机に紙類を置き、頭を抱えた。


「なんでいるんですか。」

「いやァ、今頃苦労してんだろうと思ったんで。」

「そう思うなら、どうぞ。」

「やなこった、お前の仕事だろ。」

「元を正せば沖田さんの仕事なんですけど。」


手渡したら突き返された。こいつ、性根からくさってやがる…!そうは思ったが、これ以上やれやれと言ったところで時間をドブに捨てるようなものなのでやめた。
喋りながら手を動かす。


「あの、ホント、奴隷か下僕知りませんけど自分の仕事くらいやったらどうですか。そうすることで私がその分、他のものに手が回るようになるんです。土方さん、近藤さんのフォローにも当たってて凄い隈でしたよ?見るも無残な顔色だったもん。」

「だったもん?」

「…顔色が凄い悪かったですよ。あーもうそういうことばっか言ってないで溜める前に自分の分くらいはやってくださいよ、私が倒れます。」

「…ふぅん、興味ねェな。」

「(血も涙もねえ。)
…負担を減らしてあげないと土方さんもそのうち倒れちゃいますよ。」

「へー、じゃあ奴が倒れることを願って、やらないでおこう。」

「……(おっ、おそろしい子…!)」


再び溜息を吐く。今度は私だけだった。そうだよなあ、お姉さんも、周りの人も取られたと思ってるんだもんなあ。そこを考えるとなんとなく強く怒れなくなる。いや何もなくても彼の圧政が怖くて怒れないだろうけども。

私が怒ったのかと思ったのか、それとも何とはなしに雰囲気が変わったのを察したのか沖田さんが私に寄って背にもたれかかってきた。
あぁ、そう、きっとおもちゃをとられたくないんだろうな。と私は何となく気付いて、殺さないであげてくださいよ、真選組のために。と最後に小言を一言だけ言っておく。
今日はこれくらいにしてやろうと思ったのだ。実年齢は彼の方が上だが、精神年齢と言うやつはきっと私の方が上なのかもしれない。じゃれてるだけか、おもちゃを弄ってるだけなのかもしれないが、沖田さんは案外甘えたがりなのだ。


「なんですか?」

「…放っておいたら、なまえ、倒れんの。」


私はそのことをこの短い期間ながらも理解していて、それから本当は気の遣える人だということもわかってるつもりだ。つんけんしなきゃいけない理由があるのだろう。
私が、まだ大丈夫ですよ。と言えば、彼が立ち上がり私の使っていない筆と先程突き返した書類を手に取って机に向かう。


「手伝ってくれるんですか?」

「…元々俺の仕事でさァ。」

「仰る通りですね。」


まぁ、渋々しつつも申し訳なさそうな顔をする彼は可愛いらしいので嫌いではないのでございますが。






寂しがりとか甘えたがりっておいしいですね。
title by クロエ
20110730
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