帰りが遅い先生代わりに夕飯を作っていると先生と一緒に幼馴染みが手を引かれ家に来た。 彼女は少し目線を足元に向けて、指で唇に触れると、あのね、と口を開く。 「お家…いたくなくてね、ゲームセンターの前でうろうろしてたんです。そしたら先生が、危ないですよ。ってひっぱってくれたの。」 「なんかあったのか?」 彼女が来てくれて正直なところ嬉しかったが、その不安そうな表情を見てこっちまで不安になった。 「パパ、ホントはお仕事してなかったんです。お金大変で…でも、だいじょうぶ。って、次はとりかえせる。って。 そしたらママとパパけんかしちゃって、私、 今日もおこられちゃった。」 目を擦る彼女の頬は強く殴られたのか真っ赤で、少し腫れていた。前から度々あったらしいことも、そんな事情も知らなかった。 「それで…パパに、消えろ。って…言われたの。」 空いてる手で服の裾を強く握った彼女は酷く小さく、触れれば消えてしまいそうだった。 「そう、か…。」 たいした言葉は返せなかった。 「あのさ…親父さんはそう言ってるかもしれねえけど、俺はお前には消えてほしくないからな。 心配いらねえよ、俺がついてる。俺が、いる。」 だけど、そのまま放っといているのが堪らなく嫌で仕方なくて、だろ?と聞いて抱きしめると、じわりと服が濡れた。 「しんすけくん、だいじょうぶ。だいじょうぶですよ。」 彼女は何度も何度も大丈夫だと囁き、背中を撫で、抱きしめた。 「うっせえ…何が大丈夫だってんだよ。先生は死んだ、俺の周りにゃ誰もいやしねえじゃねーか。」 「それでも… だいじょうぶだよ、しんすけくん。」 大切な人を失って、荒れて、色々なものや人に当たった。大切な彼女も被害者になったこともあったと記憶しているが、彼女は一度だって泣かなかったし、怒りはしなかった。 これ以上傷付けたくないのに、彼女は離れてはくれなかった。 だが、それが救いにもなってた。 「だって…私もひとりだったけどしんすけくんがいたんだもの。だからしんすけくんには私がいるでしょう?」 「…俺ァお前まで傷付けてるんだ、いい加減愛想尽かしちまえ。同情なんざいらねェ。」 彼女の腕を払ってギロリと睨みを利かすと彼女は一瞬だけムッと反抗的に眉を吊り上げたが、すぐにそれも下がり、ちがうよ。と困ったように笑う。 「私が泣けるの、ここしかないもの。なのに今離れたらしんすけくん、死んじゃいそう。」 そんなの嫌だの。と、そう彼女はボロボロ涙を零して、先生がいなくなってさびしいよぅ…!!と俺にしがみついた。 変な同情もなく、ただ彼女が自分と同じ気持ちでいてくれて、涙を流し、俺を必要としてくれてるとわかっただけで開いた穴が少しずつ埋まってくれた気がした。 「ね、万斉くん知ってます?」 「知らねェな…。」 「かれのギター、元気でるの。聞かせてもらいにいきませんか?」 「睡が行きたいならどこでもいい。」 13日の金曜日 (ね、だいじょうぶ…?) (お前…血…!!) (しんすけくんも目、血だらけ…。ごめんね、私のせい…) (オイ寝んなバカ、謝んじゃねーよ…っ。次はちゃんと、ちゃんと守っから…!!) そしてその日、テメーまで失ったんだ。 まさかのいきなりな過去という罠。 なんか…ね、話の詰めも何もかも甘い気がする。才能?ないですけど何か← やっぱりな記憶喪失ね、色々あったんだよ仕方なかったんだ。ホントは初対面みたいな感じからーみたいな風にしたかったけどなんかこう、ね。 更新速度その他諸々も含めて許したげて(許さない) 20090928 |