ねぇ、ギャリー
「…ん?どうしたのイヴ。」
……なんでもない…
「あら、変な子ねぇ」
ギャリーは笑う。私もつられて笑ってしまう。もう何度目だろう。ギャリーがあの美術館で言った、まかろんが美味しいお店に来たのは。私達がこうして無事にもとのセカイへ戻って…メアリーが…
「イヴ。」
ギャリーの大きな手がわたしの頭を優しく撫でていた。
この手に撫でられると、自分のなかの不安定な心が取り払われていく。なぜか、視界がぼやけた。
「イヴ…あんたって子は。」
ギャリーはハンカチを取り出して瞳から溢れ出る涙を拭う。その行動をみてから、イヴはいま自分が泣いていることに気付いた。
「イヴせいじゃないわ。あの時のことは…そうなるしかなかったのよ。」
こくりとぎこちなく頷くイヴだったが、どこか上の空で、ギャリーの言葉がなかなか入ってこないようにみえた。
(メアリー…)
交差
私はあなたを守りたかった。
私は3人で一緒に出たかった。
END