「胡蝶のことが好きかもしれない。」
「じゃあ今まで嫌いだったの?」
「そうじゃなくて、…」
「…どうした?」
……胡蝶が、誰よりも好きなの。
椿は赤面した顔でそう言うと、今にも泣き出しそうになりながら踵を返し走り去った。胡蝶はと言うと、
「夢落ちかよッッ」
部屋中にけたたましい目覚まし音が鳴り、それを乱暴に止めながらベッドの中で最悪な目覚めと、ここ一番の最悪な朝を迎えた。
嗚呼、正夢になれ!
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