「ありえへん」

激しい二日酔い。
原因は跡部主催の俺の誕生日パーティーだった。



俺が「誕生日は当分一人やなぁ」と言ったのがきっかけで祭事が好きな跡部が「俺様が生誕祭を開いてやろーじゃねぇーの」と言い出し、男子テニス部をメインに集めて跡部邸で開かれた俺の誕生日パーティー。
年々豪華になっていったパーティーは高等部に上がり流石にもうないだろうと思ったが、高等部になると中等部の時の男テニレギュラー陣+αによる身内のみのパーティーになった。
メンバーを見て流石にもう変なことはないだろうと思ったが、

「跡部、これ」
「あぁ、ドンペリだぜ」

用意されたのは酒。
しかも一般庶民には遠すぎる高級品ばかり。
未成年飲酒はあかんやろと思いながらも、滅多に飲めるものでは無いからと呑む。
結局、俺、跡部、滝、鳳を除くメンバーは皆さんきっちりとその場で酔い、結局全員朝帰りと言う結末でパーティーは終わった。



(跡部のやつ、騒ぐネタが欲しいだけちゃうんか…?)

そんな事も思ったが頭が響き何も考えたくなかった。
誕生日翌日
一人暮らしには広めのマンションで独りぼーっと過ごす。
正直せっかくの日曜日なのだから外に出たかった。だが、二日酔いが体の動きを止める。

(まぁ楽しかったからえーけど)

そんなときだった。
右手にあった携帯が震える。
ディスプレイを見ると「謙也」と言う文字があった。
タイトル無しのそのメールを開くと『今どこ?実家帰ってきてる?』と言う顔文字も絵文字も可愛げも何も無い本文があった。

「帰ってへん。今マンション」

可愛くないメールに可愛くないメールで返すと返信して一分たたずで返信が来た。

『わかった』

本文を読み終わると同時に携帯が震える。
モニターには『着信 謙也』と言う文字があった。

「なんやねん」
『いや、打つんめんどなってん』
謙也はいつものように笑った。
「にしてはメールは相変わらず早い返信やったけど」
『浪速のスピードスターなめんなよ』
多分コイツどやってるやろな…と思った。
「浪速のスピードスター(笑)なぁ」
『お前、今最後に(笑)つけたやろ』
「つけてへんわ」
鼻で笑いながら俺は言う。
『いや、つけたで』
「つけてへん」
『いや、絶対つけた』
「しつこいなぁ…何でもええやん」
『お前なぁ!!』
「んで、なんやねん謙也」
『…いやなぁ、お前昨日誕生日やから地元帰ってるかなぁ思って』
「帰ってへんわ。大阪東京間の高さなめんなよ。新幹線でも高いわ」
ちなみに夜行バスでもビビるぐらい高い。
『確かになぁ』
「は?」
謙也の言葉に俺は一瞬反応した。
『何や?』
「いや…何もない」
気のせいか、と思いスルーする。
『まっ、今マンションに独りって寂しいやつやな』
「うっさいわ。」
昨日めちゃくちゃ盛り上がったわ。
『そんな侑士にろーほー』
「朗報な。ちゃんと日本語喋れ」
『なんでもええやん』
「で、なんやねん。朗報って」



ピンポーンとチャイムが鳴る。
「誰か来たからちょっと待って」
携帯をその場に置き玄関へ向かう。
「はいはーい」
鍵を開け扉を開く。
そこには

「浪速のスピードスター到着」
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