あくまで子供ですから




※魔法使いパロ






どこの奥地とも知れず、ひっそりと佇む居城ーー木の葉魔法学園。


寮の談話室に一人の生徒…フカフカとしたソファーに、何やら一枚の紙を見つめながら座るサクラがいた。


紙には円やら星マークやらが描かれている。




「あれ、サクラちゃん!どこに行ってたんだ?探したってばよ!」

「ナルト…ちょっと学長様に呼ばれて」

「綱手のばあちゃんに?…説教?」

「あんたじゃあるまいし!違うに決まってるでしょ」




頭に疑問符を浮かべながらサクラ隣に座るナルトは、サクラと同じ寮生であり、学園きっての問題児である。


よって彼の脳内には、学長に呼ばれる=説教という図式が完成していた。


じゃあ何で、と聞こうとして目に入ったのは一枚の紙。




「それって、魔方陣じゃ…」

「そう、悪魔召喚魔法のね」

「ん?そういやサクラちゃんって、悪魔学の授業って…」

「出てないわよ」

「……必修なのに?」

「だからコレなんでしょ」





そう言って、召喚魔法陣の描かれた紙をヒラヒラと揺らすと、学長に言われたことをナルトに教えはじめた。


生徒達には、学年に合わせた基本の必修科目が存在する。悪魔学もその一つだ。ただ稀に、自身の学年より上の必修科目を受ける者もいる。サクラは現在、魔法薬学に於いて自身の学年より二つ上のものを受けている。

その魔法薬学の授業と、本来受ける筈の悪魔学の授業の時間割が被っているのだ。


その措置として、悪魔学のレポートで単位を与える、ということになった。題目は悪魔の観察。

そして学長に渡された紙…魔力に見合った悪魔を召喚する魔方陣だと言う。




「マンドラゴラなら良いのに…」

「うーん、そのサイズなら小鬼(ゴブリン)とか魍魎(コールタール)とか?」

「で?今からやるのか?」

「「シカマル!」」




何時の間にか背後に立っていた同期のシカマルの質問に、サクラは頷く。

それを確認すると、ナルトの首根っこを掴むとそのまま立ち上がらせる。




「なら俺達は行くな」

「ええっ!?何でだってば!?」

「お前な…」




溜め息をつくと、掴んでいた手を離し、自身の額を抑えた。

何となくシカマルの言いたいことが分かったサクラは苦笑いする。




「そもそも、召喚魔法は素質と集中力の高さで決まる。悪魔に隙を見せたら最後、喰われるのはこっちだ。それと、引っかかるのはそれが学長の魔方陣だという点…」

「なら、何かあってからじゃ遅いってばよ!」




ギャーギャー喚くナルトに、シカマルは眉間にシワを寄せて、さらに注意しようとしたが、それはサクラに制止させられた。




「大丈夫よ、シカマル」

「サクラ」

「いい、ナルト。大人しく見てるのよ?」

「っ!おう!!」



ナルトには甘いよなぁ…と呟くシカマルを横目に、サクラは魔方陣に意識と魔力を集中させる。

魔方陣は淡い光を生み出す。

やがて光は強くなり、眩い閃光が部屋を満たした。


咄嗟に瞑った瞼を、光の収まりとともにゆっくりと開く。

微かに残る光の中心には、一つの影が。




「っ、子供、か?」




自分達よりも5つは下の年齢だろうか。黒髪黒眼の少年がそこにはいた。とても警戒しているのか、目付きは鋭く、睨みつけている。しかし、彼の肩は微かに震えていて。




「人型…吸血鬼(ヴァンパイア)の子供か…?」

「怖がらなくてもいいってばよー…ってぇ!?」




触れようと伸ばしたナルトの手を、少年は容赦無く叩き払った。




「こんのガキ!…ったぁ!?」

「ナルト、煩い」




次に伸ばした手が拳骨であったのを見た瞬間、サクラはそれが振り下ろされる前に、自身の拳骨をナルトの脳天に叩き落した。


そして何事もなかったかのように少年の前でしゃがむと、笑顔を向ける。




「初めまして、私はサクラです。ごめんね、いきなり呼んでしまって…驚いちゃったよね?」




サクラの挨拶に少年はピクンと反応を示す。

何にそこまで反応するのか、訝しげな視線を向けるシカマル。




「サクラ、が呼んだのか?」

「!…うん、そうなの」




まさか君みたいな子が来るとは思わなくて…と眉根を下げるサクラ。




「早くお家に帰りたいよね?」

「ガキは早く帰ってお寝んねしたらいいってばよ…」

「……どっちがガキだよ、めんどくせぇなぁ」



またもやシカマルにくってかかりそうなナルトに、呆れ肩を竦ませるサクラの裾が突然引かれる。

驚いてその方向をみれば、自分が呼び出した悪魔の子供。




「……ケ、だ」

「え?」

「……サスケだ。俺の、名前…」




たどたどしくも名乗る悪魔…サスケに、少しは緊張が解れたみたいだと安心したサクラは、先程以上の柔らかな笑みを浮かべる。



「…よろしくね、サスケくん」

「っ!」

「(こいつ…)」



サスケの微妙な表情の変化に、ナルトを軽くあしらっていたシカマルだけが気付いていた。


彼との出会いが、波乱を呼ぶとは、この時誰が気付いていたのであろうか…


To be continue…?
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タイトルは某執事漫画から(笑)
イメージは勿論、アズカバンの時のハーマイオニー☆
きっと続く←
2016.2.15

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