暁高校生徒会室
ペンを握りしめるも、何故自分がここにいるのか…ああ、悪友の口車に乗せられて生徒会役員という面倒極まりない役職になったからか…と軽く意識があらぬ方へと飛びかかっているサソリ。
その横に座っていたデイダラが、ついに音を上げたのを皮切りに、完全に集中は切れた。
「クッソー、絶対これ終わらないだろう、うん!」
「来年受験してくるヤツらに向けた企画だのなんだの…」
自分に割り振られた書類は、あと三分の一といったところか…まあ、半分もいって無さそうなデイダラよりはましか。
横目に見た書類の差に、自分の能力の高さという優越感に浸り鼻で笑う。
もちろんデイダラは気付いていないが。
「てか、会長どうした!?」
「今小南さんが探してくれてますよ」
鬼鮫の言う通り、暁高校生徒会長ことペインは、ことあるごとに逃走を試みている。
確かに、ある程度の仕事は役員に割り振ってしまえば事足りているのだが、会長の署名が必須な書類は残る一方。後でまとめてやるつもりなのだろうが、万が一の取りこぼしを考えると、役員は残らざるを得ない。
ただでさえ派手な頭髪等を『個性の尊重』等とそれらしい理由を並べて生徒総会に於いて校則を緩くしたのだ。たとえ生徒達からの支持があつくとも、これ以上教師陣に目を付けられるのは、生徒会活動をする上であまり得策とは言えない。
それに加え、来年はついに受験も視野に入れる必要がある。そこまで考えて、サソリはあくびをしつつ、もう少しやるか…とペンに手を伸ばそうとしたその時。
「オレの分は終わったから、これで失礼する」
「っあぁ!?イタチずりぃ!!」
いるのかすらわからない程静かだったイタチが、鞄を肩に掛けて立ち上がるところだった。
「…ちゃんとやるべきことは終わっている。それにオレは元々、今日参加しない予定だ」
「そういえば、約束があるとか、仰ってましたねぇ」
「フン、どうせあの弟だろ」
「本当イタチはブラコンだな、うん」
「…いや、今日の約束はサスケじゃない。サクラだ」
「へぇー、サクラねぇ……
って、サクラだあ!?!?」
「サクラって確かサソリの従姉妹じゃ…」
当然ペンに行くはずだったサソリの手は、イタチの胸ぐらを掴んでいた。
「てめぇ、イタチ!!オレのサクラに何するつもりだコラ!?」
「別に何も…それにこの約束はサクラからされたものだ」
イタチはサッと素早く自身の胸ぐらを掴むサソリの手を外すと、生徒会の扉に手をかけ、サソリの制止も無視して退出する…かと思いきや、何かを思い出したようで、立ち止まり振り返ったのだ。
「なっ、待て、まだ話は…」
「ああ、そうだサソリ。一つ訂正しよう」
「あ?」
「サクラはお前のじゃない
オレのだ」
ふっと笑って言い残すと、今度こそ生徒会を出る。
嫌にしんとする教室は、もって五秒後…
「……っざっけんじゃねぇぇぇえ!!!!」
暁高校生徒会室
静かな日など無いに等しいその教室で、その日はいつも以上の怒号が響いたのだった…
End
ーーーーーーー
降って湧いたギャグ。
拍手以外ではあまり書かない暁だけど、嫌いじゃないです(笑)
2014.12.18
[ 7/14 ][*prev] [next#]
[ mokuji]
[しおりを挟む]