スピードの無いヘタレスター






今日もいつもと同じ。

しいて言うたら、春休み。

部活も午前練だけ。

ただの暇な一日。


そう思っとったのに……













「どないしたらええっちゅーねん…」





ついさっき届いたメール。
マネのなまえからやったから、部活のことなんかな〜とかベッドでゴロっとしたまんま、軽いノリで開いた。




ーーーーーーーーーー
date:20××.04.01 13:15
From:なまえ
sub:(no title)
−−−−−ーーーーー



私、謙也くんが好きです



ーーーーーーーーーー






マジか?マジなんか?

え、なまえがオレのこと…

うっわ、どないしよ!顔がにやけてしゃーない!!
ずっと好きで好きでしゃーなかった相手とりょ、両想いやったとか…浮かれずには居れへんっちゅー話や!!



午前練の時、いつもと違て見えたんは、これの前兆やったっちゅうことなんか!!


この場合は"オレも"って返すべきなんやろか!?いや、ベタすぎへんか?もっとええ言葉で返信したほうが…


それより、今直ぐにでも、会いたい!せやけど、いきなり行くのも…






そして、冒頭に戻る訳で…



オレはとりあえず、散々悩み考えた結果、白石にメールした。あいつなら、ええアドバイスくれるやろ!



♪ピロリロリ〜ン♪



「ぅお、返信はやっ!!」





スピードスター顔負けの速さ…さすがバイブルや!この素早く無駄の無い対処…頼って正解やで!!
意気揚々とさっそくメールを読み上げる。





「なになに…"さすがヘタレスター。んなことで部長にメールとか、ほんまにアホでダサいっスわ"……って、財前やんけ!?」





アドバイスどころか、凶器が出てきよった。

なんでや!?ちゃんと白石に送ったはずやのに…!?





「ん、スクロール出来る…"あたふたしてると思われるヘタレスターにええこと教えときます。今日はエイプリルフールですよって。"……」





最悪や…よぉ見たら、財前と白石のメアドが逆に登録されとった。
ちゅうか、これ、ウソ言うより、ただの嫌がらせやん!!






バシッとベットに携帯を叩きつける。


てことは、なんや、なまえからのメールもウソなん?



そう思うと、一気にテンションが下がって、魂が抜けたみたいに覇気を失った。ドサっと携帯の横に座ると、それを見計らったみたいに携帯が鳴りだした。






「電話…」





どうせ侑士やろ。
この気持ちをぶつけたるわ…


虚しいような、イライラしたような気持ちで、通話ボタンを押した。





「もしもし」

『け、謙也くん…』

「え」






まるで時間が止まったみたいに動けんくなった。

やって、電話の相手が…





「なまえ?」





なして、なまえが電話を?


まさか、オレをからかう…とか?





『あの、ね…さっきのメールのことなんだけど…』





ああ、この声色の感じやと、ちゃううな。

というか、そもそもなまえは誰かをからかおうとか、そんなやつやない。

恐らくやけど、財前辺りが唆(そそのか)したんやと思う。





「別にええよ」

『っ、そ、それって…!』

「嘘やったんやろ?別に気にしてへんから」

『……え』





今度は、なまえが時間が止まったみたいに固まったみたいや。

何をそんなに驚いてんのか、さっぱり分からんオレはどうにも出来へん。


何て声かけようか迷っとると、耳に届いたなまえの声は、微かに震えとって…





『何でそんなこと言うの?というか……何で嘘つかなきゃいけないの?』

「え?」





ウソを付いとるとは、思えんかった。





「なぁなまえ。今日何の日か、知っとる?」

『うん!今日は《告白すると、高確率で成功する日だ》って、白石くんが教えてくれたよ?』





……ええ、何この可愛えの。

電話口で、こてんと首を傾げていうであろうなまえの姿が、ありありと目に浮かぶわ…


明らか白石の嘘やん、それ。

……ん?

てことは……





「ほ、ほんまに…なまえはオレんことが、好きやっちゅーこと?」

『だから、そうだって言ってるのに!』






そこで漸く、理解した。


なまえからの好きっちゅーメールは、ホンマもんやったってことに。






「はは、オレ…ほんまにアホでダサいわ…」

『ん?何、聞こえないよ?』

「…オレも、好きや!……前からずっと、なまえが好きやった」

『っ!』

「せやから…オレの彼女になってくれへんかな?」

『…よ、ろしく、お願いしますっ』

「おん!めっちゃ好きやで!なまえへの気持ちは、誰にも負けへんっちゅー話や!」






ウジウジせんと、メールもろたあと直ぐに返信すればよかったんや…


浪速のスピードスターが聞いて呆れるわ。



スピードの無いヘタレスター


(財前に言われても、しゃーないわな……とは、思いたくないんやけど!)



ーその日の夜ー

(おお、謙也か?オレな、今日、彼女出来てん)
(ほんまか、侑士!オレもや!!)
(……は?“ウソ”やろ?)

End
ーーーーーー

白石がイケメン過ぎた件(笑)

ぶっちゃけ、エイプリルフールって忘れるよね…★

タイトルがアレで、すみません…
ネーミングセンスとか、欲しいな。


2014.04.01

[ 23/24 ]

[*prev] [next#]
[ mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -