オレ様に振り回される
『…ふぁい…もしもしぃ…』
《今直ぐ学校屋上にこい》
『……はい?』
惰眠を貪る日曜日の朝。
それは、史上最悪なモーニングコールだった。
*******
『あ、とべ…っ』
「おせぇ…このオレ様を何分待たせる気だ?アーン?」
屋上に着いてやっと見つけたこのアホ部を睨みつけるも、これっぽっちも効果はない。
なんてったって、アホ部だから。
『あ、あのねぇ…これでも、全力で…ハァ、ハァッ…ッあー!疲れたー!』
「そんなんで疲れるとは、だらしがねーな」
『テニスバカが一般女子に対して言うコトじゃない!』
あのモーニングコールの後、必死で準備して家を出た私への労いの言葉はないのか。
ツゥっと額から顎へと流れる汗を拭う。
『もう、折角の日曜日の朝が台無し!いつも早いから、ゆっくり起きたかったのに…』
「その折角の休日に、オレ様が直々に顔が見たいっつったんだ。…いや、お前はオレ様が会いたいだろうということを予測すべきだ」
『無茶言わないで!』
折角の休日だと言うのに、態々制服に腕を通した時の遣る瀬無さといったら…相当虚しいものだった。それなのにこの男は…!!
毎度毎度、こんな無茶ぶりを予測しろと?
『そんな芸当、私には無理!…まぁ、幸村くんとかなら予測出来そうだけど…』
後は、柳くんとか乾くん?確率論とか持ち出してきそう…
幸村くんは、ほら、うん。アレだよ…
なんて考えていたら、目の前の跡部の顔がみるみると不機嫌になっていった。いやいや、不機嫌なのはこっちだっていうのに…何、どうしたっていうの…?
「なまえ、お前はオレ様の彼女だろう?」
『…うん?まぁ、そうだけど』
「なのに、オレ様に自分から会いにこないのはどういうわけだ?それに加え、オレ様のことを未だに名字呼び…他の男の話しもする…」
『そんなに不服?』
「ったりめーだ。だから、オレ様にも考えがある…」
『…何?別れるつもり?』
突然の話題展開に戸惑うしかない。
確かに私と跡部は恋人同士だ。
でも、イチャイチャするとか、あまりしない方だと思う。それは私の性格のせいかもしれないけど。
周りにも、別れないのが不思議だと思われてる。そりゃ私だって思ってるよ。何で私なんかにこいつは告白してきたのかって…
だから、別れると言われるのが当然だとも思った。それと同時に、胸が少し苦しくなった気がしたけど、きっと気のせい…だよね。
じっと跡部の目を見つめて、答えを待つ。すると、跡部はフワッと笑った。その瞬間、背筋がゾクッと粟立つ感覚に襲われる。
「まさか
……お仕置きするに決まってんだろ」
『……は?何言って、ちょっと!?』
距離を詰めてきたかと思えば、私の目の前の景色は跡部と真っ青な空だった。
…え、今の一瞬で何が…?
ぼうっとする思考から、ハッと我に返ったのは、脇腹付近に直に冷たい手のひらの感触を感じたからだった。
『何処触っ…ここ学校なのに!』
「オレ様はここのキングだぞ?キングが何処で何しようが構わないはずだが?」
『そんな訳あるかっ!…っやだってば…んん!』
「…黙って、オレ様に乱されろよ、なまえ」
抵抗虚しく…
オレ様に振り回される
それでも、本気で離れられなくて…
End
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何となく新テニのOVAネタ…というより、ヨウツベで見てたら書きたくなった(笑)
日曜日ということに誰も気付かなかったのか…それとも気付いてたものの、跡部相手に言えなかったのか…どっちにしろキツイw
2014.08.21
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[ mokuji]
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