勝負の理由が変わった理由



※団長=グラン
※団員夢主






騎空団の日常の一コマとして、それはよく見かける光景だった。




「さぁ団長!オレと拳で語り合おうぜ…!」

「そうだね、機会があれば…」





誰彼かまわず挑まないことを再三約束したにも関わらず、隙さえあれば勝負を申し込むフェザーをのらりくらりと躱(かわ)すグラン。


そう…見慣れた光景、だった、のだ。


またやってる…と、どうしても堪えきれない笑いを本で隠して横目に見ていたのが、そもそもの間違いだったのか…



「そうだ。ナマエに勝ったら、勝負してもいいよ」

『……ん?』




全てはこの一言で変わった。




***





今、私の名前じゃなかった…?

いやまさか、そんな。人を生贄に差し出すような、グランはそんなことしない…

って、思っている時もありました。


そっと顔を上げてみたら、バッチリとフェザーと目が合った…ので、視線を逸らした。

ツカツカこっちに迫って来る足音に、いい予感が全くしない。





「ナマエ!今の聞いていたな!」

『何のことかな』

「早速オレと勝負を…」

『私には戦う理由が無いよ』

「そこは鍛練だと思ってだな!」




鍛練はするけど、フェザーの場合、鍛練とかいうレベルじゃない。最早ただの戦闘だと思う。

とりあえず、本を持ち上げて読書の体勢に戻る。




「団長の前にナマエと拳で語り合うのもいい刺激かもしれないしな。一勝負しようぜ!」

『残念ながら、肉体言語は持ち合わせておりません、あしからず』

「いいや、誰でも拳で語ることが出来る!ナマエもな!」




どうしよう。空気的壁(拒否の言葉)も物理的壁(本)も一切通用しないなんて。

これは、本当に凄い。ただただフラストレーションが溜まる。グランが他の誰かにパスしたくなる気持ちもわかる…って、私にパスしなくったってもいいじゃない!

ここは一先ず、戦略的撤退。

あからさまに本を閉じて、ここから颯爽と立ち去ろう。




「なぁ、ナマエー!」



…としたけれど。

やはりと言うべきなのか、フェザーはしっかりと後をついて来た。




「場所を変えるのか?」

『違うよ』

「ナマエも恥ずかしがり屋なんだな!」

『…だから違うって…』

「団長の前にナマエと拳を交えることが、星の導きだったのかもしれないな!」

『っ…!』




もう、しっつこい!と、思って…
思わず振り向きざまに無言の腹パンを繰り出してしまった。



「ぐふっ!?」

『ああごめっ…!つい!』




俯き震えるフェザー。

怒ってる、よね?

ジョブがオーガじゃなかった(ここ大事)とはいえ、さすがに不意打ちなんて、勝負するにしても卑怯だし…覗き込んで見たフェザーの表情はどこか嬉しそう……嬉しそう?




「ナマエ!」

『っ、はい』

「今すぐ!勝負しよう!」

『……そんなにグランと勝負したいの?』

「いや違う!今オレはナマエの事が気になって仕方がないんだ!

純粋に団長よりも勝負したいんだ!」

『………そうですか』



もしかしなくても、余計面倒なことになったのでは?

これは、新たな日常の光景の始まり……


勝負の理由が変わった理由
(いつか気付く日がくる…かも?)
End
ーーーーーーー
ポケモン&遊戯王A5ネタ投入!
その結果。
フェザーがMっぽくなった……もともと?←
フェザジタでも可!
2017.7.27

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