とある空の日常
※団員夢主(種族ヒューマン)
※団長=グラン
『おはよう…』
「ああ、ナマエ、おはよう」
「珍しくいつもよりは早いな」
「…フッ、確かに」
『これでも頑張って起きたの!』
ラウンジに入ると、イケメン三人がコーヒーブレイクをしていた。眼福ってやつだけど、アルベールの余計な一言と、ユーステスが鼻で笑ったことによって、気分は急降下していった。
『ランちゃんだけだよ、普通に挨拶返してくれるのは…』
「そんな事無いと思うけど」
「ナマエおっはー!」
「「おっはー!」」
ランちゃんこと、ランスロットとの会話を分断するように奥から顔を出してきたのは、エルーン三人組。
ユーステスと同じエルーンなのに、この煩さの差は何だと毎回考えてしまう。
『おはよう、エルっち、トモちゃん』
「ギャッハ、ローアイン無視かよ!」
「見事にスルーとか!」
先頭に立つローアインを見ることなく、後ろに立つエルセムとトモイに挨拶を返す。
その結果ローアインが固まった。
『ごめん、ちょっとイラっとしたから、つい。それより、今日待機組じゃないんでしょ?早く行かなくていいの?』
「ハッ、っべェよ、キャタリナさんが俺を待ってる!」
「いやいや、んな待ってねぇよ絶対!」
「Do感」
などと言いながらも、三人はバタバタと出て行った。
彼らの言葉を借りるならば、“秒で復活パティーン”である。
『一気に静かになった』
「それよりナマエ、朝食はどうしたんだ?部屋で何か食べたのか?」
『んーん、何にも。適当につまむつもり。時間も微妙だし…朝ごはん食べないと、エルモートとかジョエルとかノイシュとかバウオーダとかに怒られるし』
寝坊やら朝食抜きやら偏食やら…パッと見不良でも面倒見の良いエルーンの彼や、健康第一!の彼や真面目な彼らに見つかった途端、説教をされた。それも長い、固い、辛い。そしてリュミエール騎士団率の高さも半端ない。
成長期のグランやルリア、イオに悪影響だの何だの…
『昨日作ったタルトタタンでいっか』
「それは、どちらにしろノイシュ達に怒られるんじゃないのか?…って、タルトタタン?」
アルベールの指摘を無視して戸棚を漁ったのだが…
『んー?昨日結構多く作ったから、残ってる筈何だけど…?』
ウチの騎空団は、他の騎空団に比べて、絶対にリンゴの消費量が多いと思っている。主にビィとミュオンによって。
そのため多めにリンゴを買うのだが、それでもすぐに消える。
昨日珍しくリンゴが残っていたので、タルトタタンを作ったのだが…何処へ?
「それなら此処にある」
『へ?』
ユーステスがフォークを向けてくる。ちょ、危ない。その先に刺さっていたのは、コーヒーのお供として食べているであろう…タルトタタン。
『って、それ私の!』
「そう言った。団員共有の棚にあった」
『いやそうだけど、名前書いてあったよね、蓋に』
「知らん」
前にビィ達がミュオンが買って戸棚にいれていたリンゴを食べてしまい、リンゴストックが無くなるという事があった。
それ以来、共有棚にあっても、名前入りのものがしばしば存在したのだ。
確かに量的に誰かが食べてもいいとは思っていたけど、無断でって…。
「これ、ナマエが作ったのか?」
『そうだよ。昨日』
アルベールが繁々とタルトタタンを見つめた。ちょっと失礼じゃないかな、それ。
そんな不満を察知したのか、笑顔を向けてくるランスロット。
「とても美味しいよ」
『ふふっ、本当に?』
「もちろん!ほら、ナマエ」
『え、と、ランちゃん…』
「ん?」
え、この人分かっててやってるの?それとも、何も考えて無いの?
タルトタタンを刺したフォークを向けてくるけど…あーんしろって?
本当にこのイケメン怖いんだけど。私を恥ずか死させるつもりなのだろうか…
助けを求めようと視線を外すとーー
『んむっ!?』
「……」
「「な!/あ!」」
口に広がるリンゴの味。
唇が挟んでいるのは、銀食器。
それを持つ褐色の手。
…ユーステスにあーんをされてしまった。
『っ!』
「ナマエ!」
理解した瞬間、熱を帯び始めた頬。
バクバク動く胸。
リンゴといい勝負であろう頬を隠すため、制止を無視して部屋から飛び出した。
とある空の日常
(恥ずか死しそうな朝)
End
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次イベは「とりまトッポブで(復刻)」なので、ローアイン達もだしてみた(笑)
2017.3.26
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[ mokuji]
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