名前呼びの理由





怜Side








桜咲く4月。新学年へと進級するにあたって、新しいクラスになりました。

前同じクラスだった人、初めて話す人、いろいろいます。


たまたま僕の隣になった彼女…みょうじさんは、今年から同じクラスになったのですが…






『ねぇ、竜ヶ峰くん』

「前にも言いましたが、僕は竜ヶ崎です」

『あ、ごめん!でね、竜ヶ峰くん』

「〜〜〜〜〜っ!!」






最初は、まぁ呼びづらい苗字かなとも思っていました。が!

ここ迄くると態となんじゃないかと疑いましたよ。毎回毎回、“崎”を“峰”って…!


何処ぞのエアコンみたいな名前にしないで欲しいんですが!





「あ、怜ちゃん!」





廊下から僕を呼ぶ声。

僕が答えるよりも早く、みょうじさんが振り向いた。





『あれ、葉月くん?』

「?あっ、なまえちゃんか!怜ちゃんと同じクラスなんだね!」

『怜ちゃん…?』





コテンと首を傾げて僕を見るみょうじさん。

怜ちゃんいいなー、羨ましい!と叫ぶ渚くんとは、どうやら去年同じクラスだったようだ。


それより、部活か何かの話だろうか。

今年は後輩が出来た。さしずめ、新入部員でも入れるつもりでしょうか…

人数が増えれば、もう少し部費も融通してくれるかもしれませんし。


僕がそう結論付けたのと同時に、みょうじさんがハッとした表情で僕を指差した。





『ああ、竜ヶ峰くんの下の名前か!』

「だから、竜ヶ崎です!」

『ん?…私、またやっちゃった?』

「またというより、毎回です…」





この人は、僕の名前を覚える気はないんでしょうか。





「なまえちゃん、また人の名前覚えるのに苦労してるの?」

「……この人のこれは、根本的な問題でしたか」

『め、面目ないです…』





シュンと俯くみょうじさん。

妙に罪悪感が生まれるので、出来ればそんな顔はして欲しくないですね…


ふと渚くんを見ると、なにやら目が輝いてました。あの顔は、基本的にいいことは言わない気がしますが。





「もういっそ、僕みたいに名前で呼んだら?怜って名前、間違えようがないと思うんだ!」

『え、いいの?』





渚くんの提案に、先程とは一転して、明るく笑ったみょうじさん。

おずおずと僕に聞くその顔は可愛い…って、何を考えているんだ!





「…た、確かに、何度も訂正しても直らないようですし…いいでしょう」



名前呼びの理由

(改めてよろしくね、怜ちゃん!)
(ええ…って、なんでちゃん付けなんですか!)
(じゃあ、僕のことも名前で呼んで!)
(わかったよ、渚くんっ)
(ちょっと、おかしくないですか、それ!僕もちゃんよりくんの方が…)
(わーい、なまえちゃんが名前で呼んでくれたー!)
(無視!?)

理由は、なまえさんがバカだからじゃないですか?

End
ーーーーーーー

竜ヶ崎を竜ヶ峰と言ったのは、私です。ごめんなさい…

デュラったんだよ!←

2014.04.08

[ 5/8 ]

[*prev] [next#]
[ mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -