他の誰かにあげるくらいなら







「やぁ、ルーシィ」

「きゃぁぁぁぁああ!!!」








*******










「ねぇ、ルーシィ、そろそろもとの状態に戻っても…」

「ダメ」

「あい」



正直言って、足がもう臨界点突破しそうなんだけどなぁ…


まさか、着替え中だったなんて。


ルーシィが机に向かっているであろう時間を狙ったはずが、とんだ誤算だった。


頑張るルーシィの肩を揉んであげて、休憩がてら、僕が紅茶を煎れてあげる算段だったのに!!


着替え中とは言え、何も見えなかった……



「ちょっとロキ。反省してる?」

「もちろん。だって、ずっと正座してるんだよ?」



口が裂けても言えない本心をへにゃり笑顔で隠すロキ。

そうとは知らないルーシィは、ため息をついたあと、ふわりと笑った。



「おいしいクッキーがあるの」

「へ?」

「紅茶でいい?」

「え、あっ、うん」



流れるように椅子に座らされたロキ。


これは……許してもらえたってことかな



「紅茶飲んだら、さっさと帰ってよね」

「……」



折角の二人っきりなのに



「…ロキ?」

「え〜、もう少し居ても…」

「ダメ」

「ルーシィ、残忍過ぎるよ〜」

「ナツと同じこと言わないで!!」



──ピクッ



「なんで、ナツ?」

「だって、紅茶飲んだら帰ってって言ったあとに、『残忍』って……あいつが初めて来たときと全く同じで…」



ルーシィの声は、途中からロキには届いていない。



「じゃあ、初めてルーシィの家に来たのはナツで……初めてルーシィと紅茶を飲んだのも、ナツ?」

「うん、そうね」



まあ、ハッピーもいたけど。と笑いながら紅茶を飲むルーシィは本当に可愛くて……



「僕も欲しいな…」

「何を?」

「…ルーシィの『初めて』…」

──ブフォッ!!!


ガンッとティーカップを机に叩きつけ、キッとロキを見据えるルーシィ



「ケホッ、ケホッ……ロキ…何言って…」

「どうしてそんなに動揺してるの?」

「別に、動揺してなんか…」

「じゃあ……」



クイッとルーシィの顎を上にあげて見つめ……



「僕とキスして」



君の『初めて』を僕にください

(「この部屋で、誰かとキスしてないでしょ?」)
(「……」)
(「ねぇ、ルーシィ…」)
(「き、き…」)
(「き?」)
(「っ、強制閉門ー!!!」)

End

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