何色のキミ
※金の斧、銀の斧パロ
ある日のこと、グレイ・フルバスターという男が、川のそばで木を切っていました。
ところが、手が滑り、持っていたオノを川に落としてしまいました。
グレイは困ってしまい、シクシク泣きました。
オノがないと、仕事が出来ないからです。
すると川の中からヘルメス…もとい、ハッピーという神さまが出て来て、ぴかぴかに光る金の少女を見せました。
「お前が落としたのは、この金のルーシィか?」
「いや、オレが落としたのは、女の子じゃなくて、オノだ」
するとハッピーは、次に銀に輝く少女を出しました。
「では、このルーシィか?」
「だから、ルーシィじゃねぇ、オノだオノ」
「では、この…」
ハッピーが3番目に見せたのは、虹色に輝く少女でした。
「このルーシィか?」
「ここは落としたオノが出てくる所だろーが!」
「そうか、お前は正直な男だな」
ハッピーはグレイの正直さに感心しました。
「なら…!」
「うむ。お前には、金のルーシィも銀のルーシィも…おまけに虹色のルーシィもあげよう」
「いやいや、好い加減オノを出してくれ!それと、くれるとしても、ルーシィは一人でいい!」
「…本当に?」
「え」
「三人もいたらあんなことや、こんなことまで出来るのに?」
まさかのハッピーの一言に、グレイは硬直。
あまりに下心満載過ぎやしないかと絶句した…のでは無く、むしろ有りかもしれない…と真剣に悩んでいたのです。
それでも…と、理性と戦うグレイでしたが……
「「「グレイ…」」」
「なっ!?」
美しい人形のように動かなかった三人のルーシィは、一瞬にして命が吹き込まれたかのように動きだし…
一人はグレイの背後から前へと腕をまわし、一人は正面から抱きつき、そして一人は横からグレイの腕に絡み付くように抱き…同じなのは、三人が三人、皆艶かしいうっとりとした表情を浮かべていること。
目の前のルーシィに、にこりと微笑まれた瞬間、グレイはそっと手をルーシィの顎に添えました。
「ルーシィ……いってぇ!?」
そのまま流されそうになったグレイの頭に、突然痛みが襲いました。
痛みのはしった頭を抑えていると、何時の間にか、目の前にいたはずのルーシィがいないことに気が付きました。
それどころか、三人全員がいないのです。
「一体、何がどうなって…」
「馬鹿グレイ!」
「!?」
後ろからの罵声に驚き振り向くと、そこにいたのは金糸のような髪を靡かせ、銀の装飾をし、淡い虹色のワンピースをきたルーシィが右手の拳を震わせながらグレイを睨んでいたのです。
あの頭への痛みの原因は、彼女の右手にあるのでしょう。
グレイと目が合うと、ルーシィはフイッと顔を背け、スタスタと歩き始めました。
「あ、待ってくれ、ルーシィ!」
急いでその背を追いかけ、腕を掴もうとした瞬間…グレイの手はスカッと見事にすり抜けた。
「はぁあ!?」
予想だにしていなかった状況に、困惑のあまり、グレイはそのままバランスを崩し……
ーードンッ!
「いってぇ!」
「グレイ、大丈夫!?」
「は…」
ふと、顔を上げると、そこには心配そうにこちらを覗くルーシィ。
「随分と深く眠ってたみたいだけど…」
グレイが机から落ちてやがる!とケラケラ笑うギルドのメンバーの声など、グレイの耳には届いていない。
ただ、ボーッとする頭で、手をルーシィの頬へと伸ばした。
「え、」
「よかった…触れる」
今目の前にいるのは…
何色のキミ
(随分と真っ赤なルーシィだな…まだ夢なのか?)
(っ、本当にどうしたのよ!)
ーーーーーーー
金の斧、銀の斧パロでした。
やっぱりタイトル付けるセンスが欲しい…
2016.5.18
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[ mokuji]
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