視線の先
オレの見ている先は、彼女。
彼女の見ている先は…いつもアイツで。
この視線が交わればいいのに…
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「……」
「…グレイ、眉間のシワ、取れなくなっちゃうわよ?」
「……」
「……見つめてばかりいないで、話しかけたら?」
そう言ってみても、何も反応しないグレイに、ミラは乾いたような笑いしか出来なかった。
とりあえず、少しは気を紛らわすことができるだろうと、グレイの側に飲み物を置くとその場を離れた。
グレイは、相変わらずルーシィを見つめている。しかし、その視線が交わることはない。
ルーシィはルーシィで、ずっとナツと話してばかり。
本当なら、すぐにでも間に割って入りたいのだが、偶々見た雑誌によると、しつこい男だと思われる行為に該当するらしく、行動に移そうにも躊躇してしまう。
だが同時にそれは、少し強引なところは高評価、などと、結局どっちだよ!とつっこみたくなる記事だった。
どうすべきか…
ぐるぐる頭を悩ませてながら、視線はずっとルーシィを見つめる。どうしても見つからない答えに、諦めて視線を外そうかとした瞬間、それはルーシィと絡まった。
けれどそれは一瞬の出来事。
気付いた時にはルーシィから逸らされていて…その事実に身体が勝手に動いた。
「え、きゃっ…!?」
「!?おい、グレイ!何してんだよ!」
グレイはルーシィの腕をつかみ、自身へと引き寄せていたのだ。
間に割ろうとするナツを一瞥してから、ルーシィに向き直る。
そこで再び、ルーシィによって視線は外される。
それに苛立ったグレイは舌打ちをすると、ルーシィの顎を掴んで、自分の顔を近づけた。
「っ、グ、グレイ…近い、」
「……んでだよ」
「え、」
「オレはいつもお前を見ているのに…何でルーシィはいつもナツを見てんだよ」
微かに震えるグレイの声。
「少しはオレを見ろよ!」
「……あ、あんたを見てると…」
顎を掴んでいたグレイの手を取り、俯き発したルーシィの声も震えている。
これは拒絶だろうか…
そうグレイが思い、ルーシィの腰にまわしていた手を外そうとした瞬間。
「ドキドキするの!つらいの!しょうがない位にドキドキして…グレイを真っ直ぐ見られないから、ナツを見るフリしてグレイを見ているのに…
いつも見てるっていうなら、気付きなさいよ!」
顔を上げてそう捲し立てたルーシィは、羞恥のせいか真っ赤で。
勢いよく、グレイに抱き付いてきた。
それを受け止めると、グレイはそのままルーシィを抱きしめる。肩口に顔を埋めて、愛の言葉を囁くのだった。
視線の先
いつだって、気になる君
End
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切なくて甘い、ナツルー←グレっぽいグレルーを書きたくて。
とりあえず、タイトルのネーミングセンスください←
2015.2.26
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[ mokuji]
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