視線の先







オレの見ている先は、彼女。



彼女の見ている先は…いつもアイツで。




この視線が交わればいいのに…






*******





「……」

「…グレイ、眉間のシワ、取れなくなっちゃうわよ?」

「……」

「……見つめてばかりいないで、話しかけたら?」





そう言ってみても、何も反応しないグレイに、ミラは乾いたような笑いしか出来なかった。

とりあえず、少しは気を紛らわすことができるだろうと、グレイの側に飲み物を置くとその場を離れた。


グレイは、相変わらずルーシィを見つめている。しかし、その視線が交わることはない。

ルーシィはルーシィで、ずっとナツと話してばかり。
本当なら、すぐにでも間に割って入りたいのだが、偶々見た雑誌によると、しつこい男だと思われる行為に該当するらしく、行動に移そうにも躊躇してしまう。
だが同時にそれは、少し強引なところは高評価、などと、結局どっちだよ!とつっこみたくなる記事だった。



どうすべきか…


ぐるぐる頭を悩ませてながら、視線はずっとルーシィを見つめる。どうしても見つからない答えに、諦めて視線を外そうかとした瞬間、それはルーシィと絡まった。


けれどそれは一瞬の出来事。


気付いた時にはルーシィから逸らされていて…その事実に身体が勝手に動いた。





「え、きゃっ…!?」

「!?おい、グレイ!何してんだよ!」





グレイはルーシィの腕をつかみ、自身へと引き寄せていたのだ。

間に割ろうとするナツを一瞥してから、ルーシィに向き直る。


そこで再び、ルーシィによって視線は外される。


それに苛立ったグレイは舌打ちをすると、ルーシィの顎を掴んで、自分の顔を近づけた。





「っ、グ、グレイ…近い、」

「……んでだよ」

「え、」

「オレはいつもお前を見ているのに…何でルーシィはいつもナツを見てんだよ」





微かに震えるグレイの声。





「少しはオレを見ろよ!」

「……あ、あんたを見てると…」





顎を掴んでいたグレイの手を取り、俯き発したルーシィの声も震えている。


これは拒絶だろうか…


そうグレイが思い、ルーシィの腰にまわしていた手を外そうとした瞬間。





「ドキドキするの!つらいの!しょうがない位にドキドキして…グレイを真っ直ぐ見られないから、ナツを見るフリしてグレイを見ているのに…


いつも見てるっていうなら、気付きなさいよ!」




顔を上げてそう捲し立てたルーシィは、羞恥のせいか真っ赤で。

勢いよく、グレイに抱き付いてきた。


それを受け止めると、グレイはそのままルーシィを抱きしめる。肩口に顔を埋めて、愛の言葉を囁くのだった。



視線の先

いつだって、気になる君


End
ーーーーーーー

切なくて甘い、ナツルー←グレっぽいグレルーを書きたくて。
とりあえず、タイトルのネーミングセンスください←

2015.2.26

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