※学パロ
※節分







「腹減ったー!」





4時間目終了後、ナツのその一声により、教室から一気に人が減る。

委員会へ行ったり、部会へ行ったり、はたまた食堂へと走ったり…天気が良いのも合わさってか、お弁当組はこぞって中庭や屋上へ向かった。

ルーシィも一度、今日は外で食べようかと考えたが、これはそこそこ大口を開けて食べるもの。あまり多くの人に見られるのも…と考え直し、包みを開いた。





「お、ルーシィのそれ、随分デケェ海苔巻きだな」

「デケェっつーか、そこは長ぇだろ」

「恵方巻きよ、恵方巻き!」

「確か、その年の恵方に向かって願い事を思い浮かべながら食べるっていう…」

「そうそれ!何があっても、口から放さないで食べるんだから!」





ルーシィの手元を覗き込んで言うナツとグレイ。

一応2人の手にはコンビニの袋が。





「いいな、それ!オレもやりてぇ!」

「購買部で結構売ってたから、まだあるかもよ?」

「よーし、行ってくる!」

「私も行こう」

「オレもあやかってみるかなー」





既にお昼は調達済みのはずのナツを筆頭に、バラバラとクラスに残っていた数人が全員購買部へと向かった。

残っているのは、ルーシィとグレイの2人。





「グレイはいいの?」

「まあな…それより、先に食ったらどうだ?ナツのヤローは、早食いだからな。ルーシィの後から食べても、先に食い終わるだろーぜ」

「確かに、それもそうね」





ルーシィはいただきます、と呟くと、手にとってパクリと海苔巻きにかぶり付く。

そのままモグモグ咀嚼すると、フワッと笑みを浮かべる。
本当なら、美味しい!と言いたいところなのだが、それは出来ない。


願い事を思い浮かべながら、中ほど付近まで食べ進めた頃、グレイはルーシィに気付かれないように、ニヤリと笑うと、ルーシィの前に回り込んだ。





「なぁ、ルーシィ…それ、何があっても放さない…んだろ?」





コクン

勿論、声を出すわけにも行かず、ルーシィは一つ頷く。





「じゃぁ…頑張れよ」

「?……!?!?」





不思議に思ったルーシィだったが、次の瞬間には目を見開いていた。


あろうことか、グレイがルーシィから咀嚼する逆サイドから食べ始めたのだ。


徐々に迫る距離にあたふたするルーシィ。


そんなルーシィに、グレイはニヤニヤしながらパクパクと海苔巻きを食べる。



こ、このままだとあたし、グレイと、キ、キ、キス…っ!



その単語が頭を過り、恥ずかしさのあまり目を閉じようかとしたが…




「っ、」

「!?」





ブチン!

と海苔が切れる音と共に、グレイはルーシィの視界から横へフェードアウトした。





「アニヒヘハガル、グヘイ!」
(何してやがる、グレイ!)

「ング、ゴックン……てめ、邪魔しやがって。つか恵方関係なく食ってんじゃねーよナツ!」

「ゴックン……んだとグレイ」

「あ?やんのか?」

「騒がしいぞ」

「「はい!」」

「…ふふ」




ナツとグレイを止めるエルザ。

いつもの光景に、ルーシィは先ほどのことなど忘れたかのように、やわらかに微笑んだ。



恵方の先に君

今年もみんなと…貴方と楽しい時間が過ごせますように

End
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本当は拍手にでもしようかと思っていたんですが…
ガッツリ遅刻したので短編へ(笑)
2015.2.4

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