終わらない恋になれ
あのお茶会から数日…
気持ちだけが大きくなって…
私…壊れちゃいそう
***
気付いたら完全下校時刻ギリギリだった。
慌ててローファーを履いて、玄関を出た。
『はぁぁ…』
つま先をトントンと地面に叩いてしっかりローファーを履いて、カバンを肩に掛け直す。
そしてまた溜息を一つ。
あ、と口元を覆うけど、きっと幸せは逃げている。
最近溜息をし過ぎだと、友人に言われたばかりだと言うのに…
原因は分かっている。
あのお茶会以降、雲雀さんを探す頻度が上がった。それと同時に、雲雀さんへの気持ちも募る一方…
まるでストーカーのようだと友人に指摘され、何となく自覚があったけれど、面と向かって言われたためか、ショックを受けた。
そしてもし、こんな私を雲雀さんが知ったら嫌われるのではないか?
そもそも、私なんか眼中にないから関係ないとか?
…そんな考えばかりが頭を過ぎって、溜息をつく。
それが最近繰り返している流れだった。
こんなやり場のない気持ちを持て余し、ほとほと困っていて…
『……どうしたらいいの…』
「あれ、お前…
みょうじなまえ?」
『っ、はい?』
突然呼ばれて、驚きながらも振り向くと、サラサラした金髪を靡かせた男性がいた。
えっと、この人が呼んだ…のかな?
「やっぱりそうだ!」
『あの、えっと、貴方は…?』
うんうんと頷くこの人に、やっぱりこの人に呼ばれたんだ、と確信はするけど…誰?
どこかで見た覚えがあるけど……どこだっけ?
「オレはディーノっつって、キョウヤの家庭教師だ」
『家庭教師さん…?』
キョウヤ…って、もしかして雲雀さんのこと?
でも、雲雀さんに家庭教師がいたとして、何で私のこと知っているんだろう?
ぐるぐる疑問が頭を巡るけど、キラキラとした、まるで絵本の中の王子様のような笑顔につい釘付けになってしまう。
外国人は、やっぱり違うなぁ…なんて呑気に思っていたら、ディーノさんは笑顔を崩さずに、とんでもない爆弾を投下した。
「お前、キョウヤのことが好きなんだろ?」
『な、なな、なんで知って…!?』
「そりゃ、見てたら分かるからな(…おお、ちょっとカマかけてみたが…脈アリどころの話じゃねーぞ)」
ケラケラ笑うディーノさんの言葉に、頭が一瞬、白くなる。
だって、見てたら分かるって…
『ハッ…!ま、まさか、雲雀さんにもバレて…!?』
「落ち着けって。バレてねぇから(まぁ、だから色々と大変なんだけどな)」
『バレて…ない?』
「ああ」
『よ、かった…のかな?…いや、バレてなくていいんだって!』
「…なまえも苦労してんだな。だから溜息ついてたのか」
『っ!?!?』
いつから見てたのこの人は!!
焦る私を気にした風もなく、ディーノさんは更に爆弾を投下してくる。
「サクッと告白しちまえって!」
『こ、告は…!?いやいや、無理ですから!それに、付き合おうだなんて、何ておこがましいことを…!』
そうだ。そもそも私と雲雀さんとじゃ、釣り合うはずがないし…付き合えるはずがない。
あんな素敵な人には、私なんかより、もっと素敵な人が似合うもの。
だから私は、遠くから見れるだけで十分。
いつまでも、あの後ろ姿を見つめて、ときめいていたい。
でも…
「それでも…好き、なんだろ?」
『っ、ぁ…』
そう。
終わらない恋になれ…と願うくらい
「何してるの?」
『っ!』
「おぅ、キョウヤ!」
その声に、ときめいてしまうんだ…
To be continue…
ーーーーーーー
ディーノが学校の教師として来た時って、シモン編の後…虹の呪い編かー
と漠然と思いながら書きました(笑)
2015.7.11
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[ mokuji]
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