賢者の意志
それは、とある金曜日のこと…
『黒子くーん!』
「みょうじさん、その手に持っているのは…」
「黒いローブ…?…ってまさか」
『ねぇ黒子くん、これ着ない?』
なまえが黒子に差し出したものは、火神の言うとおり、黒いローブと杖、そして伊達メガネである。
『今日の夜にやる映画の宣伝しよう!私この映画、スッゴく好きなの☆』
「だからって、何で黒子なんだよ?」
『え、だって凄く似合いそうだと思って…ダメ、かな?』
「えっと…」
なまえのお願いに、黒子はつい口籠る。ようはコスプレをして欲しいということなのだろう。だが、文化祭でもあるまいし、自分一人がコスプレというのは、いささか抵抗があった。
『無理しなくていいよ?もしダメなら降旗くんに頼むし!』
「え、オレ!?」
最初は楽しそうに見ていたものの、自分の名前が出てきたために、慌てる降旗。
『じゃなかったら伊月先輩!』
「髪型で選んでるよな、あれ」
「……(コクコク」
水戸部に話しかけた小金井の後ろでは、伊月が「魔法…ま、ほう…うーん」とブツブツとダジャレを考えている。勿論日向はこめかみをヒクヒクさせているが、伊月は気付いているのかいないのか。
場の空気がいつもの如くカオスになる中、彼の一言で一瞬静まり返った。
「…やります」
『え……ホントに!?やった♪』
「私も手伝うわよ!!」
「おわっ、カントク!?」
黒子は瞬く間になまえとリコの手によって、魔法使いへと変身した。
「おお、結構様になってるじゃねーか、黒子」
「火神くんに褒められても、あまり嬉しくないですね」
「おい!!」
メガネの位置を気にしたり、袖口を見たり、黒子は少々落ち着かない様子。そんな彼の姿に、なまえはキラキラとした眼差しを向けていた。
「折角だし、何か魔法の言葉言ってみたらどうだ?」
「黒子お前…本当に魔法使いなのか!?」
「なわけねーだろ!!」
日向の言葉に、持っていた杖を見つめる。
咄嗟に思い出した呪文は、かなり有名だと思われるもの。
それを唱えようとするが…
「じゃぁ…エクスペk」
『ストップストップ!』
なまえに全力で止められた。
『それは上級魔法でしょ!今日の放送は第一弾なんだから、入学したての感じで…びゅーん、ひょいとか!』
「ああ、羽根飛ばすやつか」
「羽根爆破させるやついたよな」
意を決して言おうとしたのに止められるとは思っていなかった黒子。少しムッとしたかに見えたが、何か思い付いたらしく、すぐにニコリと笑った。
それはほんの少しの仕返しなのかもしれない。
「では、もっと別の魔法を、みょうじさんにかけてあげましょう…
恋の魔法をね」
「「「「は、」」」」←一年生ズ
「「「「え、」」」」←二年生ズ
「きゃっ」←リコ
「ワン!」
全員が全員固まる中、黒子は流れるような動作で、なまえの顎に手をかけると、その柔らかな頬にキスを落としたのだった。
賢者の意志
(魔法には、かかってくれましたか?なまえさん)
(っ、ぅあ…はい…)
End
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勿論CVネタ。
本当に今日放送ですし…USJもオープンしたし…
記念に!←
2014.07.25
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[ mokuji]
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