蠍座の男
高尾Side
「おっしゃ、昼メシ、昼メシ〜♪」
購買部で買って来たやきそばパンの入った袋を回しながら真ちゃんの前の席を拝借する。
もちろん、座る時に隣の女子三人グループの確認を忘れずに。
何でかって?そりゃー好きな子がいたら、見たくて仕方ないっしょ?
「ほら、気になる人くらいいるでしょ?」
『う、うん…まぁ…』
聞こえてきた内容に、やきそばパンは俺の口に入る寸前で止まった。
え、何、恋バナ!?
しかも話の標的は、俺の気になってるみょうじさんで…
うわー、みょうじさんの気になる人って誰だよ!何かキラキラした感じの雑誌見ながら話てるっぽい…まさか、モデルの黄瀬とかがタイプとか!?いやいや、みょうじさんに限ってそんなこと…!?
落ち着け、俺。とりあえず、茶を飲んで…
『えっと、髪色が茶髪というか、明るい…』
「それ、宮地さんだよ!」
「ブッフォ!!」
「っ、汚いのだよ高尾!!」
いやだって…え?
真ちゃんに茶を大噴射してしまったが、それどころじゃない。マジ、後の制裁が怖いけど、今重要なのはみょうじさんの発言から推測された名前!
宮地さんって、あの宮地さん?
「ああ、確かになまえ好きそう。なつみは?」
「…私は緑髪のあの人かな」
「え、本当に?意外!」
緑髪って真ちゃん?
え、もしかしてバスケ部の話?俺、告る前に失恋決定ってやつ…
待て待て待て!!
本当に宮地さんのことだとは限らないし、気になるってだけで、好きってわけじゃない…はず…だろ…
「高尾」
「………何」
「お前にこれをやろう。そして行ってこい」
「何コレ…つか、行くって何処に?」
「お前の今日のラッキーアイテム、カエルの指人形に決まっているだろう。さっきからみょうじにばかり気にして…正直言ってウザいのだよ」
「ウザいって…!」
「みょうじの何を気にしているが知らんが、そこ迄情緒不安定になるなら、これをして彼女のもとへ行けばいいだろう」
いや、みょうじさんの何かじゃなくて、みょうじさん本人が気になるんだけどな?
まあ、このエース様は恋愛事に疎そうだし、しゃーねーか。
……つか、女子グループの中に指人形して行けと?
悶々と考えていると、真ちゃんは
「うぉわ!」
『わっ、』
「なっ!?高尾和成!?」
「…何してんの、あんた」
思いっ切り女子グループの元へと突き出された。
指人形はバッチリ握り締めて。
とりあえず、不審げな視線がいたい…
「いやー、真ちゃんがちょっとテンション上がっちゃって?」
「人のせいにするのではないのだよ!!」
いや、ハッキリ言って真ちゃんのせいっしょ。
視線を落とした先は、あの雑誌で。開かれたページにデカデカと書かれたタイトルが…
「乙女ゲーム…?」
「何、何か文句でもあんの?」
『えりなちゃん、抑えて!顔怖いから!!』
「恋愛をしたことないなまえに、えりなが勝手に乙女ゲームを勧めてるの。私は、なまえにだって気になる人くらい直ぐに出来ると思うって言ってるんだけど」
「恋愛初心者じゃ、絶対モノに出来ない…ってか、なまえはあたしんだ!」
……うん?
今の会話に、色々と聞き捨てならないことが大量にあり過ぎて、何処から処理したらいいんだ?
けど、オレが今重要視するべきことは…多分ふたつ。
雑誌の中で、イケメンだけど仏頂面なキャラを指差す。
「この宮地っつーのは…」
「星座彼氏!蠍座の男よ。確かになまえを譲るなら蠍座の男かしらね」
「あんたはホント何様よ。なまえもバシッと拒否しなさい」
『ふぇ…なつみちゃん…』
オレが今重要視するべきこと。
宮地は宮地さんのことじゃなかった。かなり安心した!
ここで第一関門突破。
次が、1番重要。んで、オレの勝負所ってやつ。
「みょうじさん、恋愛したいの?」
『え、えっと…まぁ…興味はある…というか、何と言いますか…』
「じゃあさ…
本当の蠍座の男と、恋愛しない?」
『え…』
「オレと恋愛…して欲しいんだ」
蠍座の男
(あたしの前で何告ってんだ高尾和成ぃ!)
(いってぇ!?ちょ、雑誌で叩くなって!)
(問答無用!あたしのなまえに触んな、ボケ!)
(……逃げるよ、なまえ)
(え、でも…)
(元々高尾が好きだったんでしょ?)
(!!)
End
ーーーーーーー
はい、某乙女ゲームネタ…ってガッツリ言ってましたね。星座彼氏ネタでした。
なまえは緑間と高尾の会話から、高尾が蠍座だと知っていて、つい蠍座の男…高校二年生の弓道部の宮地さんを選んだ、みたいな。
蟹座の男とおは朝信者は、CVが同じですよねー。この二人、コラボで作品書きたいな…
暴走系のえりなと、最初から全てを理解しているお姉さん系なつみ。どちらも、クラスに一人はいるタイプ(笑)
2014.04.09
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[ mokuji]
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