きっかけ





黄瀬Side





予想通り、ほぼ簡単に一軍に昇格した。まあ、新参者だから教育係が付くのは納得出来る。

でも、その教育係には納得出来ない…

そんなオレの考えは、ちょっとしたきっかけで崩れ去ることになる。








***




何なんだよ、あの人。


レイアップもフリーで外して。明らかにオレの方が、パスだってドリブルだって、シュートもスティールも上手いと思う。なのに、黒子くんが一軍レギュラーでオレの教育係?



どうにも腑に落ちなくて、黒子くんのことを兎に角聞いてまわった。

だけど、誰に聞いてもオレの欲しい答えは出てこなかった。

上手くはぐらかされたり、質問の意味そのものが違ったり、人形動かしたり…


移動教室に向かう途中の廊下で捕まえた、目の前の彼女…みょうじさんも多分、答えはくれない。でも、黒子くんの幼馴染らしいし、オレの欲しい答えに一番近いものをくれると思うんだ。






『テツヤのこと…』

「みょうじさん、黒子くんと幼馴染なんでしょ?」





幼馴染の悪口を聞くみたいで、嫌かもしれないけど、幼馴染でマネージャーでもあるみょうじさんに聞くしかないと思った経緯を全部話した。途中何度も苦笑いしては納得顔をして…あの人達はアレが通常運転だということがひしひしと伝わる。


少し難しく顔をしたみょうじさんに、やっぱり無理かと諦めかけたその時…





『私の口からテツヤのことを話すのは簡単だけど、それで本当にテツヤを理解出来るとは思えないな』






スパッと切り裂くようなみょうじさんの言葉に、固まる。





『あ、えっと、別に黄瀬くんが悪いって意味じゃないよ?』






あわあわとフォローを入れると、真剣な瞳が向けられた。

いつもの柔らかい雰囲気がガラッと変わったみたいで…






『テツヤの事なら、確かに色々知ってる。でもそれは、黄瀬くんが望むような答えじゃないと思うの。言葉では伝えられない…多分、黄瀬くんの欲しい答えはそこにあるんじゃないかな?』






疑問系で言ってるはずなのに、自信に満ちた彼女の言葉は、何故かオレの胸にストンと落ちた。


でも、オレとしては今知りたいわけで…

やっぱり、オレの欲しい答えは彼女が持っていたんだと思って口を開いた瞬間、チャイムが鳴った。






『あ、次、移動教室なんでしょ?急いだ方がいいよ!』

「え、ちょっとみょうじさん!?」

『黄瀬くんなら、見つけられるよ!バスケの中で…バスケと正面から向き合えばね…』





ぐっと背中を押されて軽くよろける。

後ろからかけられたのは、まるでオレ自身を見透かしたような言葉だった。






「(バスケと正面から…)」







納得の行かないまま、黒子くんと2軍の試合に同行することになった。そこでやっと、みょうじさんの言ってた意味が漸くわかったんだ。






「チームで大事なのは自分が何をすべきか考えることです」





黒子くんに言われてハッとした。

バスケの中で見えた黒子くんの姿は、言葉では表せないところがある。一緒に試合をしたからこそ見える黒子くんの姿。

この景色は、誰かに教えてもらうものじゃない。

思わず“黒子っち”って呼んだ。嫌そうに見えたけど、関係ない。認めちゃったし、尊敬しちゃったから。

こんな気持ち初めてで…






「俺、バスケにはまりそうっスよ!!」





きっかけ

ヒントをくれて、気付かせてくれたのは君



(みょうじさんにもはまりそう…というか、はまったっス!)
(……どうしてそこでなまえが出てくるんですか)
(みょうじさんのことも、なまえっちって呼ぼう!)
((無視ですか…))
End
ーーーーーーー

アニメの22.5話に誘発(?)された。

前々から書いてたのに、やっと仕上がった;;

2014.02.24

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