しょっぱいも甘いも



※捏造1:本来ザンクティンゼルに出現するコロマグが、バルツ公国に出現するよ。
※捏造2:団長(グラン)が「いい性格」してるよ。
※夢主は超古参メンバー設定だよ。
※ネネのフェイトエピソードネタバレを含むよ。
※OK?





グランサイファーは今、空の中……ではなく、フレイメル島に停泊している。

ものすごい笑顔で、バルツ公国にイオの里帰りとかってグランは言ってたけど…彼の本当の目的は絶対にコロマグ。じゃなかったら、ヴェインとランスロットを連れて行か無い。シャルロッテとイングヴェイに声かけないでしょ。


午前中に出掛けていって…今はおやつの時間を過ぎたくらいだし、もうすぐ帰ってくるころかも。




ーーガチャ…


噂をすればなんとやら。



『おかえり』

「ただいま、なまえ」

「たっだいまー!」




帰ってきたのは、ランスロットとヴェインの二人。

…うん、やっぱり



『ちょっとボロボロ…大きな怪我は無いみたいだけど、大丈夫?』

「ああ、たいしたことは無いよ。それが、イオの成長をザカ大公に見せることになって…」

『コロマグに行ってきたんだね』

「おお!なまえよくわかったな!」



わかったというか、知ってたというか…察してただけ。

言わないけどね。




『お腹空いたんじゃない?何か軽く作ろうか?』

「そりゃー大物の相手してきた後だしな」

「そうだな。じゃあ…お願いしようかな」

『ん、わかった』

「おっし、なら俺も作るぜ。ランちゃんは座って待っててくれよな!」



手早くエプロンを身に纏って、食料棚を開けると、一番手前にズラリと並ぶ白い丸達に目がいった。




『卵が結構あるね…スクランブルエッグにでもする?それともオムレツとか?』




初めてここ、バルツ公国に来た時にカタリナが作ってくれたスクランブルエッグは紫色になってたなぁ。

食べたグランは、紫色のジェリースライムに追いかけられる夢を見たとか言ってて…ビィが一番に気絶したんだっけ。

いや本当に、食べなくてよかった。




「卵か……目玉焼き?…玉子焼きもいいな」

『玉子焼き美味しいよね』

「そうそう、


しょっぱくてな!」
『甘くてさ!』


「『……ん?』」



思い出に浸りながら卵を持った私と、腰辺りでエプロンの紐を結び終わった姿勢のヴェインが暫し固まる。



『しょっぱくするの?』

「ああ、出汁と醤油と塩を入れて…というか、なまえは甘くするのか?」

『うん、お醤油とお塩より多めにお砂糖を入れて』



なるほど。島で食文化が違うから、玉子焼きの味にも違いがあるのか。

ヤエちゃんのバースデーパーティーの時に、ネネさんの作った故郷の島に伝わる伝統料理とか…小麦粉を卵や魚の出汁で溶いてペースト状にして野菜とお肉、イカと一緒に鉄板で焼いて、特製スペシャル濃厚ソースをかけるという料理……ネネさんがアレ、アレ言うから、料理名はわからないけど。

確かにアレは、私のいた島には無かったし…そしてかなり美味しかった。

一人納得していると、ランスロットからリクエストが投げかけられた。




「二人の話を聞いてたら、玉子焼きが食べたくなったな」

『じゃあ味はしょっぱいのにする?動いた後だし…』

「どっちも」

『……どっちも?』

「うん、どっちも」




甘い玉子焼きとしょっぱい玉子焼きの両方を御所望すると?

それ以前に玉子焼き一択なの?

とりあえず、他には…と聞こうとはしましたよ。


ニコニコニコニコ。うん、曲げるつもりゼロですね、わかります。


意外と頑固なランスロット。こうなったらヴェインに…



「まぁいいんじゃないか?ランちゃんがそう言うんだし!」




ニコニコニコニコ。ランスロットが中心で周ってるんですね、わかります。


夕飯までには時間があるし、腹持ちはする、かな。そもそも男の胃袋だし…玉子焼きのせいで夕飯が入らないなんてことはないか。

あんなに細いのに、食べるんだよなぁ。特に甘い物とか。……別に羨ましくなんかないぞ!




『じゃあ、私が甘い玉子焼き、ヴェインがしょっぱい玉子焼きね』

「ああ、俺に任せろ!」




戦闘時ばりの気合いをみせるヴェインの手元を覗いて見る。

料理慣れしてるだけあって、テキパキと準備をしていく。

片手で卵を割る姿は、騎士というより最早料理人のそれだと思う。……あ、騎士だけど料理人に見える人ならほかにもいたわ。


溶いた卵に、前に釣ったカツウォヌスで作られた出汁とアウギュステの塩を加えて……出汁に高級感があると思うのは私だけ?私も使うけどさ……。


熱したフライパンに油を敷いて、卵を流し入れて、どんどん巻いていく。

ジュワッという音と一緒に鼻を擽る香り…ランスロットとヴェインのために作ってる筈なのに、私が食べたくなってきたかも。


適当なお皿に載せて、フォークと一緒にランスロットが待つテーブルに持って行って…クエストクリア!なんちゃって←




「お待たせ!」

『お待たせー』

「ありがとう。じゃあ早速…」




玉子焼きをフォークで切ったところから、白い湯気があがる。匂いも焼き色もふわふわ加減も、いい感じみたい。…問題は味だけど。

ヴェインの作った玉子焼きを食べ、続けて私の作った玉子焼きを食べ…

ずっとランスロットの後ろにお花が飛んでるように見えるのは私だけ?



「どっちも美味いよ」

「やったななまえ!」

『うん……うん?』



反射的に返事しちゃったけど、これ完全にヴェインは本来の目的忘れてるよね。



『私もヴェインが作ったやつ、食べてみようかな』

「俺も、なまえが作ったやつ、食べてみるな」



本来の目的は、ランスロットだけじゃなくて、ヴェインの小腹も満たすことの筈なのに…何時の間にか味比べ、玉子焼きの品評会的なことになってるけど、いいよね!←


二人分の追加フォークを用意して、戻ってきた、ら……




「すまない二人とも…あまりに美味しくて、つい」



ははは、と笑うランスロットの前には、空になったお皿…って、え?空?



『……男の胃袋、なめてた…』

「なまえ?」

『……何でもない』

「そっかー。食っちまったもんはしょーがない。もっかい作ろうぜ」

「俺も何か手伝う」

『わかった、三人で作ろうか』

「「おう!/ああ!」」



しょっぱいも甘いも
(経験して、噛み分けるってね!)

この後、ランスロットがキッチンでわたわたするのは、別のお話。

ーーオマケ・夕飯仕度時ーー
(おや?朝確認した時より、卵が無いですね…これでは、お子様ランチのオムライスが少なく…)
(私卵買いにいってきます!!)
(なまえさん?…行ってしまわれた)
((グランのせいで疲れたであろうシャルロッテのために!!))
End
ーーーーーーー
タイトルは「酸いも甘いも」をもじってみました。本来の意味とはそこ迄関係無いです、多分←
本当にタイトルのセンスが欲しい…
そしてこれは、リクエストに沿うことが出来たのかどうか。

「対抗意識は無い」とのことだったので、味比べかな…と。ふってわいた玉子焼きネタ。

相互記念リクエストの品として、れんのすけ様に捧げます!
…が、質問・御指摘等ございましたら、いつでも承っておりますm(_ _)m

2017.7.10

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