彼女の328番・後編(1/7)
《彼女の328番・後編》
ドアを開けて屋上に出てきたのは、話の中心となっている春野サクラ。
左手には、ぎっしりと膨らんでいる兎柄の手提げ袋。
ピタッと文句を言うのを止めたデイダラ達は一斉に振り向き、
ギラついた視線にビクついたサクラに近づく。
その様子を呆れたふうに見据えるシカマル。
「「「「サクラ!!!!」」」」
「は、はい!!;;」
自分は昼食を食べに来た筈なのに・・・と顔を引き攣らせながら、
一人一人の顔を見る。
「えっと、何でしょ・・「サクラは、オイラの事好きか!?」
「いや、俺が好きだよな?寧ろ、愛を感じているだろ?」
「あははは。サクラ。僕は、貴女の事を深海よりも深く愛し・・「お前は黙ってろ!
・・・あ〜、サクラ・・・は、俺の事が嫌いになった、のか?」
「???」
男達にとっては真剣な質問なのだが、サクラにとっては拍子抜けを通り越して、幼子の様にキョトンとするぐらいな質問で、どうして?と思いながら不思議そうに首を傾げる。
「好きか嫌いかって訊かれたら、好きだけど・・・?」
「じゃあ何で!?・・・あ、いや・・・何で拒否してんだよ?」
「?、私、サスケくん達に何かしたっけ?」
「・・・・・」
益々不思議そうにするサクラに、訊いたサスケは当然・・・サイ、サソリ、デイダラも、ポカンとした表情になる。
「・・・小娘・・本気で言ってんのか?」
「だから、何の事?」
「「「「・・・・・」」」」
本当に何の事か解らないサクラは段々と眉間に皺を寄せ、グッとサスケ達を押し退けて、寝転がりながら笑いを耐えているシカマルに駆け寄る。
パタパタと軽い足音にシカマルは笑いを耐える事を止めてムクッと起き上がり、胡坐をかいた足を指差す。
すると、サクラは極々自然にシカマルの足の上に向き合うように座る。
サスケ達にとって衝撃的な光景なのだが・・・これも何時もの事で、初めて見た時はショックが隠せなかったのだが、漸く慣れてきたのか、今では嫉妬しながらも、自分の膝に・・・と誘うことも屡。
しかし、前以てシカマルが『少しでも増えたら、体重の事突っ込まれるぞ』と吹き込んでしまったので、サクラはシカマルの膝にしか乗らない。
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