彼女の328番・前編(1/3)



《彼女の328番・前編》









雪が降っても可笑しくない程の気温。

だが、物好き・・・というワケではないが、昼食時の屋上には五人の男達が居り、寒さなんか全然感じないという風な表情をしていた。

冬だから寒いという一般常識を見事に一掃するほど、男達の背後から溢れている真っ黒い冷気は辺りの空気を冷やしている。

そして、冷気を背負ったまま最初に言葉を発したのは、常に笑顔を貼り付けている男・・・サイ。


「毎回毎回・・・何故、部外者の方々がいらっしゃるんですか?貴方方は、高校生でしょう?」

「へッ、部外者とは失礼だな。オイラは未来の嫁さんに会いに来てんだ、うん」

「あはは、そうなんですか。大先輩はサクラ以外のお嫁さんを『お探し』で。
暇人から昇格しましたね」

「おいコラッ!!誰が暇人だ!!それに、オイラの嫁さんはサクラだ!!以外じゃねぇよ!!」

「おや?何やら幻聴が・・・あ、そんなに恐い顔して、何か気に障る様な事でも言いましたか?僕?」


「嗚呼、テメェの存在自体気にいらねェ!!唯でさえ、澄ましたイタチ弟が邪魔で気にいらねェのに・・・テメェ等は外見が似過ぎなんだよ!!うん!!」

「話が心外な方向に曲ってませんか?それに、僕はサスケくんとは違いますよ。
僕は、サクラの目の前でこんなに無愛想にしません。ねぇ、サスケくん?」

「・・・うるせぇよ。アンタらの勝手な会話に俺を出すな」


勝手に邪魔者、心外扱いされたサスケは吐き捨てる様に言うと、持っている好物のオカカお握りを食べ始める。

だが、表情はとても好物を食べているとは思えないほど不機嫌で、若干、お握りを持っている手はお握りを潰しかけている。

そんなサスケを横目で見ていたサソリは、意味有り気に口端を上げる。


「クク・・・今まで、アイツを『野放し』にしていた奴に感謝しねぇとなぁ?」

「・・・・・」


サソリが放った言葉の『奴』を、一瞬で自分の事だと解ったサスケは、更に眉を寄せてギロリとサソリを睨む。

しかし、サソリは嘲笑うかのように目を細める。


「生憎だが、俺は待つのも待たされるのも大ッ嫌いなんでね。誰かと違って余裕こいてる暇は無い・・・・それに・・・それにだ」





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