仮面優等生A
「……お、いいところにルーシィ!」
「何ですか、マカオ先生?」
「ちと手伝ってくれ!!」
ここで快諾したあたしは、馬鹿だった……
*******
放課後。たまたま職員室前を通ったあたしはきっと不幸者。
職員会議があるからと、笑顔で去った担任の背中を見た後、自分の足元に目を遣りため息。
段ボール箱が二つも鎮座している。
「荷物はそんなに多くない」と言い切った担任を、何故信用してしまったのだろうか?
そうは思っても、時既に遅し。
とりあえず……
「馬鹿担任〜〜〜!!!」
絶叫した。
悔しさとやる瀬なさを孕んだ叫びをあげたのを後悔したのは、黒髪の男と目が合った瞬間だった。
「どうしたんだ?」
「えっ、あ、えと…」
プチパニックなあたしだけど、仕方ない。
今目の前にいる彼──グレイ・フルバスターはあたしの少し気になる人だから。
初めての出会いは入学式。
迷子のあたしを助けてくれた彼は、上級生ではなく同じ新入生だった。
(といっても、エスカレーター組。だから学校の敷地に詳しかったみたい)
しかも同じクラス!!
「もしかして、マカオのヤローに捕まったのか?」
「うん、そんなところ…」
苦笑しながら頬を掻くと、不意に黒髪が揺れる。
「え、」
「一人でなんざ、無理だろ?手伝うぜ」
軽々とひとつダンボール箱(しかも重そうな方)を持ち上げるグレイ。
『少し』気になるが、『凄く』気になるになった……──。To be continue…
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