第二ボタンのかわりに(1/2)
今日、大好きな先輩が卒業します。
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「待って、グレイく〜ん♪」
「グレイ先輩ー!!」
「逃げないでください〜」
向こうで顔面蒼白で多くの女子(女性含む)から逃げている黒髪の男──グレイ先輩。
彼女たちの目的はもちろん……
「「「第二ボタンください〜!!!」」」
あまりの勢いに、呆然と立ち尽くしているとジュビアがよってきた。
「ジュビア、あんた頬っぺた……」
「ルーシィ、これは戦争……そう、その勲章!!」
グレイ様のためなら…!!息巻くジュビアに、呆れと尊敬を抱きつつ、頬っぺたの引っかき傷に絆創膏を貼ってあげるルーシィ。
「卒業式に流血って……」
「ありがとう……あ、これ預かりものです」
ジュビアが取り出したのは、ピンクの封筒……手紙?
「ロキ…?」
差出人は、今日卒業するもう一人の先輩。
今頃、グレイ先輩なんかよりも上手に女性陣から逃げ切り、どこかで高見の見物をしているだろう。
「さっき、グレイ様によってきた娘たちをのして…丁重にお引き取りをお願いしていたときにお会いして…」
「……(のして…?)」
「それでは渡しましたので、ジュビア、第二戦に行ってきます!!」
「え、あ、うん…」
まるで、「バーゲンセールの第二陣に行ってくるね☆」みたいな爽やかな笑顔でジュビアは走っていった。
「相変わらず、逃げるのが上手なんですね」
「ええ〜、そうかなぁ?」
厭味で言ってるって、わかってるのかしら?
「で、何の用ですか?」
「……ルーシィ、機嫌悪くない?」
「そんなことないですよ?」
本当にそんなつもりは、一切ない。
言われてみれば、たしかに不機嫌かもしれない。でも、理由がサッパリわからなかった。
「無意識かぁ…」
「あ、呼び出した人が、ロキ先輩だったからかも知れませんよ?」
後ろにあった木に片手をついて、ひどく落ち込むロキ先輩
「それで、『渡し忘れてたモノ』ってなんですか?」
「まあ、『渡し忘れてたモノ』というより、『伝えきれなかったモノ』…かな?」
「…先輩?」
ロキはルーシィの片手をとると、そこに一つのボタンをのせた。
「これって…」
「僕の第二ボタン」
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