仮面優等生B







マカオ先生にパシられた日もそう。いつもグレイはあたしに何かと気をつかってくれている。


また先生にパシられれば一緒に手伝ってくれたり、忘れ物をすれば先に気付いて貸してくれたり、色々とフォローしてくれるのだ。


今もそう。


地理の授業で使った黒板に掛けるタイプの地図を資料室、地球儀を社会科準備室に片付けるのを手伝ってもらっている。


でも今日、あたしは日直だ。

たまたま係りの子が委員会で手伝えないという理由から、日直のあたしが指名されたのは当然だと思う。

でも、だからってどうして?


どうしてグレイは…






「なんでそんなにあたしを助けてくれるの?」





ポロっと出た独り言は、埃っぽい静かな資料室では思いの外響き、バッチリグレイの耳に届いたようで。

作業していた手がピクッと反応したのが、背中越しからでも見えた。






「おまえってさ…なんつーか、見ててほっとけなくなるんだ」

「え…」





まさか答えてくれるなんて、思うはずがなくて驚く。






「ルーシィの困った顔を見てっと、助けてぇって思っちまうんだ」





ゆっくりあたしの前まできて止まったグレイを見上げると、頭にポフッと手を乗せられた。





「オレが勝手にやってることだから、ルーシィはオレに手伝われてろ」





そういいながら笑顔で頭を撫でるグレイに、何だか胸がくるしくなった。

好きな人に、頼って欲しいと言われて嬉しくないわけがない。けれど、頼り過ぎて嫌われないか…むしろあたしのことを頼ってはくれないのか…なんて考えるあたしは、贅沢者なの…?

グレイにとってあたしは、特別な存在になりつつあるのかな…なんて、自惚れちゃダメなのかな…?


なんて聞けるはずもなくて、あたしは頷くことしか出来なかった。


To be continue…

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