仮面優等生B
マカオ先生にパシられた日もそう。いつもグレイはあたしに何かと気をつかってくれている。
また先生にパシられれば一緒に手伝ってくれたり、忘れ物をすれば先に気付いて貸してくれたり、色々とフォローしてくれるのだ。
今もそう。
地理の授業で使った黒板に掛けるタイプの地図を資料室、地球儀を社会科準備室に片付けるのを手伝ってもらっている。
でも今日、あたしは日直だ。
たまたま係りの子が委員会で手伝えないという理由から、日直のあたしが指名されたのは当然だと思う。
でも、だからってどうして?
どうしてグレイは…
「なんでそんなにあたしを助けてくれるの?」
ポロっと出た独り言は、埃っぽい静かな資料室では思いの外響き、バッチリグレイの耳に届いたようで。
作業していた手がピクッと反応したのが、背中越しからでも見えた。
「おまえってさ…なんつーか、見ててほっとけなくなるんだ」
「え…」
まさか答えてくれるなんて、思うはずがなくて驚く。
「ルーシィの困った顔を見てっと、助けてぇって思っちまうんだ」
ゆっくりあたしの前まできて止まったグレイを見上げると、頭にポフッと手を乗せられた。
「オレが勝手にやってることだから、ルーシィはオレに手伝われてろ」
そういいながら笑顔で頭を撫でるグレイに、何だか胸がくるしくなった。
好きな人に、頼って欲しいと言われて嬉しくないわけがない。けれど、頼り過ぎて嫌われないか…むしろあたしのことを頼ってはくれないのか…なんて考えるあたしは、贅沢者なの…?
グレイにとってあたしは、特別な存在になりつつあるのかな…なんて、自惚れちゃダメなのかな…?
なんて聞けるはずもなくて、あたしは頷くことしか出来なかった。
To be continue…
[ 12/14 ][*prev] [next#]
[ mokuji]
[しおりを挟む]