橘真琴の場合







『基本的には、さっきの遥の質問と同じだから、軽い気持ちで答えてね』

「うん、分かったよ」

『それじゃ、よろしくお願いします』

「はい、お願いします」




うやうやしく頭を下げる二人。

お互いクスクス笑いながら、質問へと移っていった。





『まず最初の質問!起きて最初にすることは?』

「実は朝は苦手なんだ。結構寝坊して、妹たちに起こされてるよ」




照れ臭そうに苦笑いをする真琴。

真琴のちょっとした笑顔が要因で、最近女子人気の高さが凄いと豪語した友人の言うとおりかもしれないと感じたなまえだった。


幼馴染として鼻が高い気分なのだ。




『泳ぐこと以外で、休日の過ごし方は?』

「友達と遊びに行ったり、弟妹たちと遊んだりしてるかな。あとハルをなまえと家から“連れ出したり”。だってほっとくと家から出てこないから」




ワザとらしく笑いながら“連れ出す”というワードを強調した真琴に、なまえはムッとしつつも、それを書き込んで行く。




『趣味はないの?』

「服とか見たり買ったり…。あとゲームが好きかな。弟妹たちと遊ぶのも趣味といえば趣味なのかな?」

『次、好みのファッションは?』

「派手すぎないカジュアルなデザインが好き」

『うん、真琴に似合ってて、カッコイイよね!』

「っ、あ、ありがとう…」




不意打ちの褒め言葉に、かぁっと顔を赤くする真琴。

そんな彼とは違う意味で、なまえは顔を赤くしている。




『うー…やっぱり入ってる…』

「なまえ?」




先ほど、真琴が聞いていなくてラッキー!と思ったその質問は、やはり入っていたのだ。


友人の質問の意図がよめず、なまえは渋々口を開く。





『し、下着の種類、は?』

「ト…………ってこれ何の質問!?」

『っ、私が知りたいよ!私が考えたんじゃないのに……!っ、言う私の気持ちも考えてよ!』

「ご、ごめんなまえ!つい、」

「安心して、なまえちゃん!僕がちゃんと答えてあげるから!」

「「渚!/渚くん!」」

『私が知りたくて聞いてるんじゃないのにぃ!』

「なまえ、落ち着け」




ポンポンと、軽く宥めるように遥に肩を叩かれたことで、幾分か冷静さを取り戻したなまえ。

しかし、怒りを忘れたわけではないので、少々ふてくされてはいるが。




『むぅ、真琴のバカ!次!寝るときはパジャマ派?スウェット派?』

「ほ、ほんとにゴメン…えっと、スウェット派」

『ん……次、家族構成を教えて!』

「両親に双子の弟・蓮と妹・蘭の5人暮らし。弟たちはまだ小学生だから、家はいつもにぎやかだよ」

『蓮も蘭も可愛いよねー!この前、“僕たちのお家に来ないの?”って言われてさ!』

「ああ、遊びに来て、って?」

『ううん。お嫁さんに来て、って!』

「「「「っ、は!?!?」」」」

「……それって、マコちゃんのお嫁さんにってこと?」

「ちょ、なぎs」

『ふふ、蓮くんが貰ってくれるみたいだよ?だって真琴は大好きなお兄ちゃんだから、渡す気無いんじゃないかな?』

「(何をなまえに言ってんだよ、蓮…!俺だってまだ…)」

『次いくね。いつもおいしそうなお弁当を持ってきているけど、自分で作っているの?』

「(何でそんなに軽く次にいけるの!?)母です…。俺は料理全然できないから」

「マコちゃんが動揺しながらも、ちゃんと答えてる…!」

「誰だって動揺するでしょう。遥先輩も怖い顔して固まってしまっている…」




コソコソと渚と怜がそんな会話をしていたことはもちろん、なまえ達の耳には届いていない。




『好きな食べ物、苦手な食べ物は?』

「カレーが好き。甘いものもわりと好きで…。この体格で恥ずかしいけど。苦手なのはネバネバした食べ物かな」

『真琴、可愛い!』

「嬉しくないからね」

『だって可愛いんだもん!』

「っ、(ああもう!可愛いのはどっちだよ!)」

「……さっきからマコちゃんの心の声がだだ漏れな気がするんだけど」

「……確かに」

『好きなジャンルの映画は?』

「特にこだわりはないけど、ホラーとスプラッタ以外なら…。弟たちと一緒にアニメとかもよく観てるよ」

『戦隊ヒーローとか?今、獣耳戦隊、だっけ…』

「ああ、ミミレンジャー?」

『そうそれ!それの前の作品にもウサギが出てたよね、動物押し?』

「今でも、よくあの黄色いウサギのマネしてって蓮たちにせがまれるよ」

『確かに声似てるかも…次の質問!得意教科、苦手な教科は?』

「国語の成績はわりといいんだけど英語が全然ダメで…。あまり器用なほうじゃないから美術もちょっと…」

『国語と英語に関しては私もそんな感じだなぁ。美術は得意だけど…遥には負けるかな』

「ハルは別格じゃないかな?」

『それもそうだね。あ、次も勉強に関してだ。テストの勉強方法は?って』

「普通…じゃないかな?テストが近付いてきたら、「ああ、もうそろそろやらなきゃ」って始めて。間に合わなくなくて最後は徹夜になることも…」

『それ分かる気がする。えっと、授業中にメガネをかけているよね?…って、授業中にあの子の席から真琴って見えたっけ…?』

「…“俺の席からは見える”とだけ言っておくね」

『いや、それってアウトだよね?』

「ハハ…メガネだけど、視力がちょっと悪いから、黒板の文字が見えなくて授業中にかけてるよ』




話そらした…と納得しないままに、なまえは書き込みを進めていく。




『次の質問!初恋の相手は?』

「言えません…って恥ずかしいよ!」

『でも確かに、真琴の恋バナって聞いたことないかも』

「っ、そう、かな?」

『うん、幼馴染みでも、まだ知らないことってあるかも』

「マコちゃん、この際ハッキリ言えばいいのに!ずっとなまえちゃんのことがす「渚!」

『ん?また渚、私のこと呼んだ?』

「(わざわざなまえさんの名前だけ大きな声で呼ぶなんて。それもアンケートに書き込みをしている時を狙って…)」

『?…次の質問行くよ?…七瀬くんからもらった金魚は大切にしてる?』

「もちろん、大事にしてるよ」

『携帯電話は七瀬くんとお揃い?』

「そうだよ。俺たちが携帯を買うときに、機種を同じにしとけばハルが俺に教えてもらえるからって、ハルのおばさんが。まあ、ハルはほとんど携帯を持ち歩いていないけどね…」

『仕方ないよ。遥は携帯不携帯の放置民だもん…あ、これが最後の質問みたい…橘くんにとって七瀬くんはどんな存在?』

「今までも、これからも、大切な親友だよ」

『だって!よかったね、遥!』

「……」

『顔そらしちゃって、照れてる〜』

「別に照れてなんかいない」

『私もずっと遥は大切な幼馴染だよ!もちろん真琴もね!』

「それは……困る」

「俺も、かな」

『え、それって…



こんなめんどくさい幼馴染いらねーよっていう…』

「「……」」

「まぁ、こうなるよね!なまえちゃん、次は僕?それとも怜ちゃん?」

『次は……うん、渚の番だよ!』



ーーーーーーー
分かる人には分かる、brcnネタと、特撮ネタでした…

2015.9.29


prev next

back


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -