プロローグ





「「「アンケート?」」」




お昼休み。友達と昼食のためにいないコウちゃんを除いた水泳部員が声を揃えて、首を傾げる。
遥はこれでもかというほど、眉間にシワを寄せていたけれど。


まぁ、そんな反応するよねー…




「何でまた…?」

『それが…』





苦笑いをする私に、真琴が聞いてくる。


皆が疑問に感じているなかで、渚だけが何処かウキウキとした表情に、少し安心した。
安定の渚すぎて…


お弁当をつついていた箸を止めて、水泳部にアンケートをし無くてはならなくなった経緯を話し始めた。





***





遡ること、今朝。

席についたなまえのところへダッシュで近付いてきた親友に、嫌な予感をキャッチしつつもなまえは挨拶…をしたにも関わらず、軽くスルー。そして彼女に向けられた開口一番が「水泳部にアンケートして来て!」だった。





『アンケート?』

「そう!」





何でも、新聞部の校内紙として発行したいらしい。

しかし、締め切りが差し迫る中、バスケ部やテニス部、陸上部にと、直接取材を連日行うという強行をするという。その結果、編集のことも折込でも時間が足りないことが判明。


けれども、どこも削りたくは無い。


そこで彼女は気付く。
自分の親友が、水泳部のマネージャーである、と。





『……私が水泳部員勧誘手伝ってって言った時は、協力してくれなかったくせに…』

「あれは、ほら!自らの手で引き入れた仲間こそ、真の信頼が生まれるわけであって、簡単な新聞部の勧誘で釣れるようなヤツに水泳部は務まらないと思った私はあえて心を鬼にして、見守っていただけで…!」





絶対ウソ…

それより、務まらないって…一体何様のつもりなのだろうか…


アンケートという形で取材をするのは、水泳部だけではないという。

何処までコネを使う気なんだ、と思いつつ、選択手段としては間違っていないのも事実。

そこに考えが思い至ったなまえは、仕方ないといった表情で決断を下す。




『はぁ、分かったよ…』

「ウッフェーイ!流石なまえ!我が親友よ!」

『もう、調子に乗らない!』




***



『…って、感じで…みんな、協力してくれる?』

「いいんじゃない?面白そう!」

「確かに面白そうですね。どんなの質問があるのでしょう?」

『それが、えっと、一人一人微妙に違うみたいで…』

「随分と凝ってるんだね」

『アンケートっていうか、簡略化した取材って感じかな』

「なるほど。どんな質問でも、僕なら完璧に答えてみせます!」

『ふふ、ありがとう。じゃあ、まずは……遥!』




用紙をめくって、一番上に書かれた名前を呼んだ瞬間、本人の眉間にシワが寄ったのは、もちろんスルーさせてもらいます!






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