ーー「お前を治してやる。その対価として…



お前をここから連れ去る」



幼い頃の夢は、海賊…

女の身でありながら、私は大海原の冒険を夢見ていた。

きっかけは、男の子の友人…いわゆる、幼なじみというやつだ。彼の…彼らの話す海賊は、強くてかっこ良くて、優しかった。

けれどやはり夢物語。

女である以前に、身体が病によって侵されていたこと。

そして、貴族という籠の鳥だということ。


夢を諦めるには、充分条件が揃っていた。


それら全てを打ち破り、外へと連れ出してくれたのが、キャプテン。


トラファルガー・ローである。



彼が率いる《ハートの海賊団》は、私を受け入れてくれた。

海賊団のこと、海のこと、戦いのこと…私の知らなかったこと、生きる術…たくさんのことを教えてくれた。


みんなとの毎日が当たり前だった。


次、新しい人が海賊団に加入したなら、今度は私も一緒に、色んなことを教えたい。…私より無知な人はいないかもしれないけど、そう思っていた。


だから、《彼女》が新しく入ってきた時は本当に嬉しかった。


《彼女》は色んな海賊団を渡り歩いてきたと言っていた。

私がまだ見ていない海を知っている。《彼女》の経験してきた海を知りたい。


《彼女》に一目散に駆け寄り、話し掛ける私をペンギン達が止めた。勢いが怖過ぎると言われた。衝動的だから仕方ないと言えば、大笑いされた。


もう一度、《彼女》を見た時、大きく目を見開いていたから、本当に勢いが怖過ぎたようだ。申し訳ないことをした。


だから、《彼女》に、新しい島に着いた時…一緒に冒険しない?と誘われた時は、嬉しさのあまりジャンプした。


後に、あんなことになるなんて、少しも予想していなかったからだ。




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