大丈夫じゃない






※ギャグ甘
※ボッスン視点






「……何だってオレがこんなことー、」




放課後の屋上。

ボッスンこと、藤崎佑助の手にはローラー。自分の横には、真っ白いペンキ。


剥がれかけた壁を白く塗り直しているわけだが…


ていうか、これはスケット団の仕事か?
いや、業者だろ普通!


などと悪態をつきつつも、手を止めることはない。




「…まぁ?んなの、今更なこt

ーーバンッ!!ーー

ぅおわ!?」

『っ、あ、ボッスン!』

「どうしたなまえ?んなに息切らせて…」

『匿って!』




勢いよく扉を開いてやって来たのは、同じクラスのなまえ。
かなり焦った様子で叫ぶと、給水塔の隅の方へと身を隠した。


その後ろ姿をボッスンは訝し気に見ていると、再び訪問客が現れた。





「なまえ!どこいった!」

「椿じゃねーか」

「藤崎…お前、なまえを知らないか?」

「さぁな…にしてもどうしたよ、一体。すげー剣幕でなまえを探すなんて」





血相を変えて飛び込み、訴えてきた椿に、ボッスンは笑いが出そうになるのを堪える。

ほぼタッチの差で入ってきたのだから、ボッスンがなまえを見たことぐらい確実だろう。

そのことに気が回らないほど、椿は苛立っているようだ。




「…常日頃、事ある毎にからかってくるなまえに、堪忍袋の尾が切れただけだ。幼馴染とはいえ、何でああもつっかかってくるんだ、全く!」

「あれじゃねーの、好きな子ほどイジメたい…みたいな」





なんだそれ、羨ましいシチュエーションじゃね?

オレも幼馴染欲しいわ。つーか、なまえみたいな幼馴染が欲しい。


なまえと幼馴染とか、本当椿はずりぃよなぁ…

まあ、なまえは椿のこと、堅苦し過ぎて時々面倒くさいとか言ってたっけな。


…って、あれ?


オレは幼馴染が欲しいのか…?

それとも…



思考がとんでもない結論を叩き出した瞬間、ボッスンの顔が瞬時に赤くなる。





「あいつ、も…?」

「?」




椿が何か呟いたことにより、ハッと我にかえるボッスン。


どうも自分より顔を赤くし、ボーッとした様子の椿を見て、ボッスンは幾分か冷静さを取り戻した。






「どした、大丈夫か?」

「あ、ああ、だ、大丈夫だ。邪魔したな」





いつもは颯爽と歩く椿が、どうもぎこちなく立ち去る姿に、ボッスンは頭を傾げる。




「……本当に椿のヤツ、大丈夫か?」

『大丈夫じゃないよ!』

「ブヘッ!?」





叫びながら飛び出したなまえ。あまりに勢いがよすぎたためにボッスンに蹴り込むような形となった。

後少しでペンキの缶を倒して、大惨事を引き起こす所だ。

そのことを言おうと、ボッスンは口を開いたが、なまえの独り言に、固まる。



『どうしよう絶対変な誤解された!それも佐助に!!私が好きなのは、ボッスンなのに!!変なことになる前に誤解を解かないと…!』




なまえは軽くパニック状態のせいか、独り言が独り言のレベルを超えていることにも気づかない。頭は椿を追いかけることしかなく、屋上を後にした。


そこにただ一人、尻餅ついた状態のままのボッスン。





「……考えてること駄々漏れじゃねーか」




ああ、そうだ。仕事しねーと…


頭を掻きながら起き上がり、一歩前へ踏み出した瞬間…



ガッシャーン!


視界が全て、ホワイトアウトした。


大丈夫じゃない

(《ボッスン、こっちは終わったぞ》)
(はよ帰ろうや…って、うわ、ペンキ被っとる!)
(《ペンキ仮面再来か!?》)
(哲平ーー!!)
(え、何、呼ん…だ、ギャァァァアアア!!!)

End
ーーーーーーー
超久し振りの更新がこれでいいのだろうか…
いやだって、小説読んで、ドラマCD聞いた結果、書きたくなったから←

2015.6.13

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