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桃?桜?赤ずきん
朝、普通に仕事を探すルーシィに、ハッピーと声かけて。
いつもみたいに、グレイと取っ組み合いやらなんやらをしていたら、エルザにブン殴られた後、すっげえ眩しい光に包まれた。
つい、目を瞑たのがいけなかったんだ。
しっかり立っていたはずなのに、突然足が浮いた。
その瞬間にオレを襲ったのは、乗り物に乗った時並みの…いや、それ以上の吐き気とめまい。
頭ん中を思いっきり掻き回されたみたいな、あまりのダルさにオレは、気を失っちまったんだ……
***
「ん、んあ…?」
鼻をくすぐる、スゲー旨そうなモンの匂いで目が覚めた。
気が付くと、布団の中で。
…けど、オレん家じゃねぇし。そもそも、さっきまでギルドにいて…?
横になったまま、ボンヤリとした視界をどうにかしたくて、ナツはまばたきを繰り返す。
それでも頭はどうもボーッとしていた。
「…ルー、シィ…ハッピー…っ!?」
夢見心地な思考回路は、再び動かした鼻が現実へと覚醒させた。
ルーシィとハッピーのニオイが、ない!?
勢いよく上体を起こして周りを見る。
どれも初めて見る調度品に、頭の混乱に拍車がかかる。ここが一体どこなのか…訳がわからない。
軽い放心状態を現実へと戻したのは、後頭部への外的な激痛だった。
「いって!?」
「いつまで寝てんだよ、全く」
「なっ、
ラクサス!!」
そう。ナツをひっぱたいたのは、ラクサスその人、なのだが…
「…誰がラクサスだ。ちゃんと父さんと呼べ」
「……父さ…は?」
「おら、ぼやぼやすんな。ジジイの見舞いに行く約束だろーが」
これは二人で食えよ?…ああ、こっちのはジジイに渡しとけ。それから…
と、バスケットへと説明しながら物を詰めて行くラクサス。
彼の背中を茫然と見つめるナツ。
一体何の冗談なんだ?
……ああ、冗談だよな、冗談…
「グダグダしてねーで、さっさと行け!」
「ぅおわ!?」
バスケット共々、未だ状況把握しきれていないナツは家の外へといとも簡単に放り投げられた。
「間違っても、見舞い品は食うんじゃねーぞ、赤ずきん」
そう言い残して、ラクサスはパタリと玄関を閉めた。
「何なんだよ、ラクサスのヤツ!ただの雷親父じゃねーか!」
てか、赤ずきん…?
首を傾げた瞬間、バサリと顔にかかる布…何時の間に被っていたのか、真っ赤なずきんだった。
「これか……って、脱げねっ!」
上へ引っ張り上げれば脱げるかと思われたずきんだが、全く取れない。首元の紐も、何故か解けないのだ。
最終手段と、ナツは炎を出してみたものの、燃えるどころか、焦げることさえなかった。
「だぁー、ったく!何だってんだよ!」
結局ずきんの事を諦め、目の前の一本道を見据える。
その先に広がるのは、少々鬱蒼とした森。
「確かに向こうからじっちゃんのニオイがする…」
外に出ても、ルーシィやハッピー、グレイにエルザのニオイはない。
だが、何となくではあるが、“何処かに”朝絡んでいたいつものメンバーがいると、ナツは確信にも似た感覚があった。
じっちゃんがいるなら、何か分かるだろうし…
「しゃーねー、とりあえず行ってみっか!」
バスケットを手にとると、ナツはまだ見ぬ御伽の世界へと……前へと、力強く一歩を踏み出した。
[続く]
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幕間でナツパートでした。
もう少し後で書く予定が、書きたい衝動に負けました←
ナツに関してはあまり考えてないのに←
2015.3.28
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[ mokuji]
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