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いつものように、ナツと取っ組み合いやらなんやらをしていたら、眩い閃光に包まれ、目を瞑る。


しっかり立っていたはずが、突然の浮遊感に襲われた。しかし次の瞬間には、何かに包み込まれた。


驚き目を開くと…


ーーゴポッ…


目の前を一つの大きな気泡が通過した。



…………。



って、は!?気泡!?



声を上げたはずが、全てシャボン玉のように目の前で…
ってオレは馬鹿か!

どういう訳にか今ここは水の中。おもっくそ口をあければ空気が一気に出て苦しく…



苦しく…ない?



「どうなって…」





多少水中のためか、こもったような声が響く。どういう訳か水中で呼吸が出来ていた。
とりあえず、体を起こそう(?)とした瞬間…





「!?!?」





自分の足が、人間のそれでなく、魚になっていることを知った。





「おいおいおいおい…本当に何がどうなってやg…」

「見つけましたぞーー!!!」

「ブッ!?」




何かが顔面に突っ込んできたために、最後まで言えなかったが、本当に何がどうなってやがる。

顔面に付いたソレをひっぺがしてみると…



顔が妙に濃ゆいヒトデだった。


…ってか、ヒトデか?





「人魚姫殿!勝手に出歩かれたら困りますぞ」

「えっと…」

「まだ人間界に行ってもいいというお許しは出ていないのですぞ!」

「人間界…?オレは人げ…」




人間。その言葉は途中で止まる。




「…人魚姫、殿…って、オレのことか?」




人魚姫…

それは子供達が空想に描くお姫様のことだ。




「何を言っておられるのですかな、人魚姫殿」





当たり前だと言わんばかりの顔に言葉を失う。


海の中で、呼吸が出来る理由…それは人間ではなく、人魚だから…か?

内に留めたつもりの疑問は、つい口を付いて出たようだ。




「それは海の精霊魔法のおかげですぞ…本当に大丈夫ですかな?体調が悪いのでは…」




ヒトデの言葉はあまり頭に入ってこなかった。


海の精霊魔法…初めて聞いたが、誰かがオレに魔法をかけた…


というか、あの依頼書の魔法なんじゃねぇのか?オレがこんな訳のわかんねー所にいる理由としても、納得がいく。


つーことは、他のメンバーも多分この世界…というか海の何処かにいる可能性が高いか
…いやまて。


このヒトデはさっき、人間界と言った。

海を探すより、人間界の魔導士にあたった方が早くないか?




「こ…これ、待ちなされ!人間界は危険ですぞ」




ヒトデを無視して、オレはとりあえず、水面を目指した。


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