誤解を解いて





※現パロ…学パロ!
※切甘を目指した←






「あいつん家、今誰もいないんだ!オレは今から補習だ!」

「威張って言えることじゃないでしょ…全く」

「これリサーナん家の鍵な!リサーナがルーシィにって…んじゃ頼んだぞ!ルーシィ!!」

「はいはい」



渡された鍵を見つめながら、ルーシィはとりあえず必要そうなものを頭に思い浮かべる……が、まずは本人の様子を見る方が先決だろう。

よし、と呟いてスクールバックを肩に掛けた時、グレイと視線が合わさった。



「グレイ、まだ帰って無かったの?」

「あ、ああ…なぁ、ルーシィ」

「なに?」

「今から、リサーナの家に行くのか…?」

「もちろん、頼まれたからね」

「オレも行く」

「え?」

「……心配、だからな」

「……」



無意識になのか、その声はとてもか細く、俯いていてその表情をはっきりと見ることは出来なかったが…それらの要素一つ一つが、ルーシィの心臓に小さな痛みを与えていたのは確かだ。



「早く行きましょ!」

「あ、待てってルーシィ!」



小さな痛みが重なった時、それは大きな痛みへ変貌する。そうなる前に、ルーシィは吹っ切るようにして駆け出した。




***




「リサーナ、起きても大丈夫なの?」

「うん、朝より大分ましだから…来てくれてありがとう、ルーシィ」



熱のせいで顔の赤いリサーナ。

心配するのと同時に、どこか色っぽさを感じたルーシィは、ブンブンと首を振る。



「……グレイも…ありがとう」

「お、おう…」




リサーナから視線を逸らすグレイ。

同性であるルーシィでさえ、ドキドキしたのだ。ならば、異性であるグレイは…

思考が導いた答えに、ルーシィは弾かれたように立ち上がった。



「あたし、ちょっと買い出しに行ってくる!」



後ろから静止の声が聞こえた気がするものの、ルーシィは立ち止まることができなかった。どうしても、ここにいたくなくて。




***




「あたしの馬鹿…」



咄嗟のこととはいえ、せめてリサーナの家の冷蔵庫の中を確認するべきだった。何が足りていなくて、何が足りているのかがわからないことに気付いたのは、スーパーに入って買い物カゴに手を延ばした瞬間だった。

結局、必要そうなものを片っ端から買い込んだのだが、想像以上に…いや、予想通りに重い。普通に重い。




「リサーナ、グレイ。今戻った、よ……」




目の前の光景が信じられなくて。

ただただ目を見開いて固まっていたルーシィの手から、ゆっくりと力が抜けていくのは当然のこと。ドサッと大きな音をたてて落ちた買い物袋と、振り返ったグレイと視線がぶつかって……




「はぁ、はぁ…あ、あれ?あたし…」



切れる息、痛いくらいに動く心臓。

そして震える足。




「そっか、あたし…また逃げて来ちゃったんだ」




ふらつく身体は電信柱を背凭れにして、漸く落ち着いた。それでも、心臓と思考は悲鳴を上げそうな勢いで動いていた。

まるで映画のワンシーンのように脳裏に蘇る先程の光景…

リサーナに覆いかぶさるグレイの姿。


あれは…そういうこと、よね。


頭が下がっていくのに比例して、口角が上がっていく。そうでもしないと、自分の中に渦巻く嫌な感情が溢れそうで…自分を納得させないと、今にも脆く崩れ去りそうで。

歪な笑顔で、溢れそうなモノを押さえ込むことに精一杯なルーシィ。だからだろうか。



「そりゃ、あたしなんかよりリサーナの方が…」

「リサーナの方が何だって?」

「っ、グレイ!?」



間近で声をかけられて、漸く気付いた。

いつもならば、その足音でわかっていたはずだった。



「なん、で…どうして!?」

「はぁ?お前を追いかけてきたからに決まってんだろ」

「い、今すぐ戻って!」

「なら、ルーシィも一緒に…」

「無理!」

「ルーシィ…?」



そっとルーシィに手を延ばしたが、反射的に、その手は払われてしまう。

驚いたグレイだが、微かに震えるルーシィに気付くと、その手をおろした。



「あ、あたしは帰る、から…だから、リサーナの看病はグレイがして!むしろあたしより、グレイの方がいいのよ!そうよ、それで、リサーナと二人っきりでよろしくしてればいいのよ!」

「……何言ってんだよ?」

「何って…だって、寝込み襲ってたんでしょ!?あたしは邪魔者になりたく無いの!」

「待て待て待て!オレは寝込みなんか襲ってなんかねぇよ!」

「ウソ!」

「何をどう見たらそうなんだよ!」

「覆いかぶさってたでしょ!」

「んなことしてね…ぁ…ぁあ?」



ガトリングガンよろしく捲し立ててきたルーシィに応戦していたグレイだが、その勢いはおさまっていった。

それにつられてか、ルーシィの勢いもおさまり、何かを思案しているグレイを睨む形となっていた。



「あぁー、なるほどな、うん…」

「ちょっと、何一人納得したみたいな顔して…やっぱり、寝込み襲って…」

「だから違ぇっつの。やっぱりお前の誤解がわかったから」

「誤解…?」



あー、や、うー、といった、最早言語とは呼べない唸り声をあげるほどには、相当言い難いことなのだろう。

それでもルーシィの訝しむ視線に耐えきれなくなったのか、グレイは決心したのか、一つ深呼吸をすると、ゆっくり口を開いた。



「いいか、あれはな……


ダセェけど…


足が痺れて、上じゃなくて横に蹲(うずくま)ってたんだよ!」

「ぇ……」

「足のしびれが取れるのに時間はかかるし、遅れて来たナツに任せてルーシィ追いかけて来たっつーのに…ルーシィがあんな取り乱し方すっから…オレの方が誤解してんのかと思ったんだよ」

「グレイの誤解?」

「お前がオレを好きなんじゃねぇかっていう、オレに都合のいい誤解」

「ぇ、それって…」

「オレがルーシィのことを好きなように、ルーシィもオレを好きなんじゃねぇかってこと…

…これは誤解か?」

「……ううんっ、合ってる。あたし、グレイのこと、」

「ルーシィ、好きだ」



払われてしまった手を、再び伸ばして、今度はルーシィの頬を包み込むようにして触れた。

そこがジワジワと熱くなるのは、どちらのせいなのか。




「これくらい、男に先に言わせてくれよな」

「うん…うんっ!あたしも、グレイが好き!大好きなの!!」



思ってもみない想いの通じ方に、二人は顔を見合わせると、そのまま笑い合った。

歪なところなど無い、柔らかな笑顔で。


誤解を解いて
(リサーナの看病についてくるって言ったから、あたしてっきり…)
(ははは…(ルーシィにとってリサーナは、ノーマークなんだよなぁ…あいつはルーシィをロックしてっけど。どうしたもんかな…))
End
ーーーーーーー
リサーナがルーシィを狙ってる設定にしてみた←
ごめんグレイ、敵が増えた☆
そして相変わらずの超展開ですみません。
2017.10.22

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