恋ではありません
※グレイvsリオン「新しい恋の予感」続編
「……なんでここ(妖精の尻尾)にいる」
「前にも言ったと思うが、オレがどこに居ようと、オレの自由だろう」
「前にも言ったと思うけどな、ならここ以外にしてくれ…つーか仕事でもしてろ」
「あんた達懲り無いわね…」
またもや妖精の尻尾に居るリオンに、イライラが止まらないグレイ。そして、その二人のやり取りを見るルーシィ。
どこか見覚えのあるその光景をギルドのメンバーは遠巻きながらも、面白そうにみている。
それに気付いているグレイは、すこぶる機嫌が悪いのだ。
「今日俺はルーシィを食事に誘いに来たんだが…」
「ふざけんな」
「食事…くらいならいい「わけねぇだろうが!却下だ却下!」
ルーシィの了承の言葉を被せるようにして、拒否するグレイ。
「仕方ない、今日は諦めてやろう」
「随分と素直じゃねーか」
「ただし…
ルーシィ、試しに俺のことが好きだと言ってみてくれないか?」
「「は?/え?」」
ポカーンとする二人を無視して、リオンはどんどん話を進めていく。
「あの時俺は確かに、ルーシィの言葉にときめき、ルーシィが心から欲しい存在だとおもった。だが、それは本当なのか……あの時の精神状態は、正常だったとは言い難い。俺はこの気持ちを確かめたいのだ。本当に、ルーシィに対して、恋い焦がれているのかどうか…」
「それはつまり、恋じゃない可能性がある、ってことね?……確かに、傷心中だったし、そうかもしれないわよね…わかった」
「は?おい!」
グレイがただ一人固まったままの一方で、ポンポンと話が進んでいく。
気付けば、リオンの前には、どこか恥らっているようなルーシィの姿が。
「ルーシィ…」
「は、恥ずかしいから、直ぐに忘れなさい!
リオン…あたし、
リオンが好き」
その場にいた全員の視線が、リオンへと集まる。
「ふっ…やはりな…
今ので本当の気持ちに気付けた」
その顔はどこか寂しそうなものだった。
見守っていたメンバー達は、そっと、視線を外した。グレイもその一人だ。
嘘の告白だとわかっていても嫉妬に駆られたグレイだったが、リオンが恋ではないと言うなら、仕方の無い…必要なことだったと割り切ることを決めた。
これは、自分の兄弟子が前に進むために必要なことだったのだと。
「オレはルーシィが好きではなかったのだな」
「そうだろうな」
「ああ…オレはルーシィを
愛してしまったんだ」
「「「「はぁぁぁあ!?!?」」」」
さっきの表情は何だったんだ!どう考えても恋じゃなかったっつー反応だっただろうが!!
…グレイだけでなく、遠巻きに見ていたメンバー達の総意がそれであった。
そして、混乱を極めた人物がもう一人…
「な、そ、それってどういう!?」
まさに、パニック状態のルーシィの手を、リオンはそっと取り、耳元に顔を近づける。
「ん?オレの愛し方を知りたいとは…ルーシィは意外と大胆なんだな」
「なっ!?」
「そうだな…手取り足取り、オレの愛を一つづつルーシィに教え込むのもいいかもしれないな…」
「テメェ好い加減にしろよ!?ルーシィに何する気だ!」
「おそらくお前の想像通りだが……なんだ、お前も参加したいのか?」
「はぁ!?」
名残惜しそうにルーシィの手を外すと、挑発的な笑みをこぼしグレイに詰め寄る。
余裕綽々なリオンの態度に、グレイは思わず一歩後ず去ってしまった。
「それはそれで楽しそうじゃないか?オレ達二人に乱されるルーシィ…」
「ぐっ!」
「オレ達二人に向けられる、熱い眼差し…」
「うっ!」
「そしてルーシィは囁く…《リオンとグレイが欲しい》」
「ぐはっ!!」
「ふっ……どうやら答えは出たようだな」
「クソッ…すまねぇ、ルーシィ…」
畳み掛けられるリオンの提案(という名の妄想)に、グレイの想像(という名の妄想)は膨らみ…萎むことは無かった。むしろ大々的に受け入れていた。
口からは謝罪の言葉が出ているが、いかんせん表情に若干締まりがない。
「悔いる必要は無い…むしろ、これがオレ達にとっての最善策…さぁルーシィ、オレ達と愛を語………」
正直いってしょうもない戦いに勝利したリオンが振り向いた先に…
ルーシィはいなかった。
「「ルーシィ!?」」
「ルーシィなら、ナツと仕事に行ったわよ」
「「なんだと…」」
恋ではありません
(愛にレベルアップしました)
(追うぞ!今ならまだ間に合う!)
(ああ!…って、お前は自分のギルドの仕事をしろ!)
(あらあら…ルーシィも大変ねぇ)
End
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この二人は基本ドタバタしてる←
何も知らないナツの「仕事に行こうぜ!」に助けられたルーシィでした!
2017.7.15
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[ mokuji]
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