無謀な恋をする天邪鬼
あ、皆さん、こんにちは。
聞くところによると、僕からみたサスケくんとサクラについて聞きたいそうですね。
僕としては、どうしてサクラはあんなヤツがいいのか、理解できないかな。あんなムッツリ助平くんなんかじゃなくて、僕にすればいいのに。
ほら、今も、自分の元にサクラが来るようにその手には“罠”を仕掛けてる。
***
僕の席よりも前の方。
サスケくんは自席に座り、手に持つ紙切れーー観覧車の描かれた遊園地のチケット二枚と睨めっこをしていた。
…いや、正しくは、睨めっこしているフリ。
彼は知っているんだ。そういう仕草や態度で、彼女ーーサクラが自分の元に来ることを。
「サスケくん、それ、どうしたの?」
「ああ、サクラか。…これは…
知り合いにもらったんだ」
うん、変な間があった。
あれは自分で買ったって言ってるようなものだよね。でも、サクラはここで存分にその鈍さを発揮するから、バレない。
「ここ、イルミネーションが凄いって話題の…!」
「そうなのか?」
「だ、誰かと行く…の?」
いかにも、初めて知ったみたいな感じのサスケくんだけど、あの顔はしっかりリサーチ済みってところだね。
もじもじしながら聞くサクラに、薄っすら口角を上げたサスケくん。
「いや。どうするか悩んでたところだったんだ…折角だから、行くか?」
「え…えぇ!?」
「無理にとはいわな…」
「行く行く!絶対に行く!」
「そうか。わかった」
白々しいにも程があると思わないかい?サスケくんのあの顔、本当腹が立つ。僕と似てるとか言われるけど、本気でやめて欲しい。
僕は彼みたいに、サクラの気持ちを弄んだりはしないよ。からかいはするけど。
それに…サクラもサクラだ。
サスケくんの言動に、一々一喜一憂するなんて。
「……サクラだったら、アトラクション、何に乗りたい?」
「うーん、いろいろあるけど、一番は観覧車!」
「……お前、そんなに俺と二人きりになりたいのか?」
「え、あ、そのっ」
「悪い…
二人っきりになりたがってんのは、俺の方…だな…」
「そ、それって!?」
確信的な言葉は言わない彼に、無償に腹が立つんだ。
本当はわかってるんだろう?サクラの気持ち…
なのに、自分から言えないのは、一ミリでも不安があるから。拒絶されたら…という不安。
僕はその弱さに、怒りと感謝を感じている。
僕も、サスケくんに負けず劣らずの、ズルい小心者だから…かな。僕も彼と同じ、いつも“本当の気持ち”を言えない。
「…お望み通り一緒に乗ってやる。但し、遅刻厳禁だからな」
「うん!」
サスケくんに向けられた笑顔だとわかっていても、僕の胸を打つ笑顔。
それを壊したくはないけれど…
シカ(あいつ、策士だな…)
ナル(もちろんついて行くってばよ!)
いの(当たり前でしょ!)
サイ(皆が行くなら僕も行こうかな)
シカ((サスケ、ドンマイ))
やっぱり、僕に向けられる笑顔は、少し歪んだくらいが丁度いいのかもしれないね。
無謀な恋をする天邪鬼
キミは“ブス”だから…
End
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タイトルは「確かに恋だった」様の既存のものを少しアレンジしました。
サスケによる遠回しなデートのお誘い
全員邪魔する気満々です(笑)
もっと明るくするはずが、サイの片想いになってしまった…(^^;;
2014.01.30
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