もしもと叫ぶ小さなオレ
※学パロ/何となくバスケ部
ボールをバウンドさせると、先ほどまでいなかったはずの声がした。
声がした方を見ると、幼なじみと話してるルーシィがいた。
何時の間にか消えていたもう一人の幼なじみは見つかったんだろうか?
たまに楽しそうに笑うルーシィの笑顔に、オレは複雑な気分になった。
「ナツのヤロウ…やっぱり先に帰ったんだな。試合の反省会っつたのによ」
「あたし、ナツのこと呼び戻しに…」
「いや、いい。ナツは明日朝一でしめる。ルーシィはあがっていいぜ?オレとグレイは少し自主練してから帰る…それとも送ろうか」
「大丈夫、心配しないで。それじゃ、先に帰るけど、無理しちゃだめよ?」
「それこそ大丈夫だ、心配するな」
ナツ、ジークレイン、そしてルーシィ。あいつらは本当に仲がいい。いつも三人でいるところを見かける。
いつでもどこでも一緒。
あいつらの輪にはなかなか入り込めない空気がある。
幼なじみ、か……
もし…もしも俺があいつの幼なじみだったとして…
オレはナツみたいに、ルーシィとあんな風に話せていたか?
緊張することもなく、想いを真っ直ぐ伝える事が出来ていたのか?
今のジークレインのように、何ともないように見せて、ルーシィに触れることも…
楽しそうに笑うルーシィの笑顔をこれ以上見ていたくなくて、無理やり視線をゴールへと戻した。
シュートを放つもリングにはじかれる。
シュートを放つ瞬間、今日の試合で外したシュートとダブる。
ただただリングを睨み付けていた。
「どうしたグレイ、手が止まってるぞ?」
「……別に何でも…」
次のボールを取ろうとしたところで、ジークレインの横顔が視界に入ったのだが…
「……何笑ってやがる」
「いや、面白いなと思って」
「はぁ?」
「あててやろうか?
お前、ナツやオレに嫉妬してんだろ?」
「はぁ?なんでオレが嫉妬なんて…オレは練習の続きをする。ようがないならさっさと帰れよ」
「お前…自分の気持ちに気付いてないってわけじゃ、ねーんだろ?」
慌ててシュート練習を再開しようとした俺の背中に、ジークレインの言葉が突き刺さった。
自分の気持ち。
んなの、イヤっつーぐらい分かっている。けど、どうにも出来ねぇ…
ジークレインの言葉に、返す言葉が見つからなかった。
「まあいい。オレからしてみれば、その方が好都合だしな…じゃあな」
ジークレインが出て行き、体育館がいやに静かになった。
そんな静かな空間に響いたのは、先に帰ったはずのあいつの声。
声がした方を見ると、やはりルーシィがいた。
何でまだいる?
先に帰ったんだろ?ジークレインを待ってんのか…?
ぐるぐる回るオレの頭のせいで一歩も動けないでいると、ルーシィはオレの前まで来た。
「今日はいつもとフォームが違った…本当は、本調子じゃなかったんじゃないの?」
「っ!」
隠しきれていると思っていた。
確かに今日は朝から少し怠かった。だが、本当にほんの少しだ。だから試合だっていけると思っていた。
まぁ、3Pを一本外すミスはやらかしたが…
けど一本だけだ。それ以外のシュートは外さなかったし、相手のシュートだって弾いた。
なのに、このマネージャーは…
「よく部員のこと見てんだな。さすが敏腕マネージャー」
「違う…グレイ、だから…」
「………は?」
「あたし、グレイだからいつもと違うって分かったのよ?他の選手だったら…申し訳ないけど、わからなかったかもしれない」
ルーシィは今、何と言った?
「んだよ、それ…」
オレ、だから…?
そんな真剣な顔で…
どこか熱の籠っているような瞳で、薄っすらと頬を染めて。
オレはバカだから。
いや、男は全員バカだ。
だから、んなこと言われれば、誰だって自惚れる。
オレは、自惚れても…いいのか?
「……勝手に期待するぞ?」
「あたし的には、期待して欲しいんだけど」
「っ、そうかよ」
ルーシィの言葉が耳に届いた瞬間、頭の中の何かが弾けた。強引なまでにルーシィの腕を引っ張ると、その艶かしく見える唇に、何の躊躇いもなく、自分のものを重ねた。
もしもと叫ぶ小さなオレ
((なんてちっぽけで、くだらないヤツだったんだ…))
End
ーーーーーーー
stskの副部長とギザッ歯がこんな感じの会話してたなーと思ったので、ここはグレイにしました☆←
まあ、ギザッ歯はこんな酷い奴じゃないですが(笑)
最初、ジェラールにしようとするものの、ジークレインに変更。
…というか、ジェラールの性格って、操られる前の方がジェラールで、操られている時がジークレインの方がいいのかな…みたいな。でもなー…うーん…
ジェラールとジークレインの書き分け案のある方、もしくは上記の考えでオッケー!と言ってくださる方、是非コメントを!←
2014.07.27
[ 4/9 ][*prev] [next#]
[ mokuji]
[しおりを挟む]